
書かれていない条件を探す3分実験
「3分実験室」は、3分前後でひとつの小さな頭の実験をして、あとから「今どんな頭の使い方をした?」を見ていくシリーズです。
次の一文を読んでください。
家から学校まで10分で着く。
一見、分かりやすい文です。
でも、本当にこれだけで十分でしょうか。
まずやってみる
1.「10分」に足りない情報を探す
たとえば、
歩いて?
自転車で?
いつもの道で?
のように、書かれていない条件を3つ探してください。
2.条件を足して、言い直す
見つけた条件を使って、
文を少し詳しくしてください。
たとえば、
晴れた日に、家からいつもの道を歩けば、学校までだいたい10分で着く。
のようにします。
3.どこまでなら「10分」と言えそう?
信号で少し止まったら?
雨だったら?
荷物がとても重かったら?
「10分」という言い方がどこまで使えそうか考えてください。
4.元の一文をもう一度見る
最初の、
家から学校まで10分で着く。
を見たとき、
最初より何か違って見えるでしょうか。
ここから種明かし
短い文の中には、
書かれていない条件が隠れていることがあります。
いつもの速さ
いつもの道
いつもの出発地点
などです。
普段はわざわざ全部言いません。
でも、条件が変わったときには、
「10分」という答えも変わるかもしれません。
書かれていることだけでなく、
何が当たり前として省かれているか
を見るのが今回の実験です。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| 最初の一文 | 家から学校まで10分 |
| 隠れていた条件 | 歩く、いつもの道、普段の速さ |
| 条件を足したあと | どんなときの10分かが分かった |
| 境目を考えたあと | 雨や信号で変わるかもしれない |
| 変わったところ | 書かれていない条件を見るようになった |
記憶学で見ると?
情報は、「いつでも成り立つ一文」として覚えるより、条件と一緒に持つ方が使いやすいことがある
「学校まで10分」だけでなく、「歩いて、いつもの道なら10分」と持っていれば、別の状況でその情報を使うときに条件も一緒に確認できます。
他には……
- 意味が分かると、丸ごとの暗記から抜けやすい: 「なぜ10分なのか」「どんなときの10分なのか」を考えると、文字列だけでなく内容として扱えます。
- 条件を自分の言葉で言い直すと、理解した内容を別の形で持てる: 元の短い文と、自分で詳しくした文の両方を持つことができます。
脳のOSで見ると?
前提把握(理解OS 第16章)
「学校まで10分」という答えの後ろに、普段の速さや道など、書かれていない条件があることを見つけます。目の前の文だけでなく、その文が成り立つ土台を見る操作です。
他には……
- 境界理解(理解OS 第11章): 「10分」と言えるのは、どこまでの条件かを見る。
- 背景理解(理解OS 第17章): 一文の後ろにある状況を考える。
- 誤解修正(理解OS 第24章): 「いつでも必ず10分」という読み方を修正する。
- 言い換え(理解OS 第5章): 隠れていた条件を足し、意味を保ったまま詳しく言い直す。
もう一度だけ
次の一文でやってみてください。
「この公園は安全だ。」
「いつ?」「誰にとって?」「どこまで?」など、
隠れている条件を3つ探してみましょう。

