
一部分から、出来事全体を考える3分実験
「3分実験室」は、3分前後でひとつの小さな頭の実験をして、あとから「今どんな頭の使い方をした?」を見ていくシリーズです。
次の一つだけを見たとします。
玄関に、泥だらけの靴がある。
これだけで、
何があったか考えてみます。
まずやってみる
1.ありそうな出来事を3つ
泥だらけの靴から、
その前に何があったか3つ考えてください。
正解は一つではありません。
2.もう一つ情報を足す
次の情報が加わりました。
かばんの中に、どんぐりが入っていた。
最初に考えた出来事は変わるでしょうか。
一番ありそうだと思うものを一つ選んでください。
3.さらに一つ足す
今度は、
その日は学校の遠足だった。
という情報も加わりました。
最初の予想と比べて、
何が変わったでしょうか。
4.まだ分からないことを一つ
ここまで情報が増えても、
まだ分からないことを一つ書いてください。
ここから種明かし
最初にあったのは、
泥だらけの靴
という一部分だけでした。
そこから、
公園へ行った?
雨の中を歩いた?
サッカーをした?
と、出来事全体の候補を作りました。
でも、情報が増えると、
どんぐり
遠足
という別の部分も使えるようになります。
一つの断片だけで全体を決めず、
新しい情報が来たら組み直す。
これが今回のポイントです。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| 最初の情報 | 泥だらけの靴 |
| 最初の予想 | 公園、雨、サッカーなど |
| どんぐりが増えたあと | 公園や山が有力になった |
| 遠足だと分かったあと | 出来事全体の候補がしぼられた |
| 最後に残ったもの | それでも分からないことがあった |
記憶学で見ると?
記憶にある知識は、目の前の断片を考える材料にもなる
「泥だらけの靴」を見て、公園・雨・サッカーなどを考えられるのは、それらについて知っていることがあるからです。今回は過去の出来事を思い出す実験というより、持っている知識を材料に候補を作る実験です。
他には……
- 手掛かりが増えると、使う知識も変わる: 「泥」だけのときと、「どんぐり」「遠足」まで加わったときでは、頭の中から使う情報が変わります。
- 最初の予想と、あとから与えられた情報は分けておく: 最初から知っていたことと、途中で追加された情報を混ぜないことで、自分がどこから考えたかを確かめやすくなります。
脳のOSで見ると?
部分→全体(理解OS 第14章)
泥だらけの靴、どんぐり、遠足という一部分ずつの情報から、その日に何があったのかという全体像を組み立てます。ただし、最初の一部分だけで全体を決めず、情報が増えるたびに見直します。
他には……
- 仮説と検証(思考OS 第3章:仮説を置く): 「公園へ行ったのかも」と、まだ確定していない候補を作る。
- 仮説と検証(思考OS 第3章:確かめる): 新しく入った情報が、最初の候補と合うか確かめる。
- 背景理解(理解OS 第17章): 目の前の靴だけでなく、その前にあった出来事を見る。
- 誤解修正(理解OS 第24章): 新しい情報が来たら、最初の決めつけを直す。
もう一度だけ
次は、
「机の上に、開いたままの教科書と冷めたココアがある」
という一部分から、
その前に何があったか3通り考えてみてください。

