記憶OS 第4章|語呂合わせ

これだけ覚えよう

  • 意味だけでは覚えにくいものを、音や言葉遊びに引っかけて覚える方法。
  • たとえば「もえるは、もくよう」のように、似た音を取っ手にして思い出す。
  • 語呂そのものに、深い意味がなくてもかまわない。
  • 大切なのは、その語呂から正しい答えを取り出せること。
  • 語呂のほうが複雑になったり、間違った内容を覚えたりするなら、無理に使わなくていい。

もえるは、もくよう

集積所の前で、袋を持ったまま迷っている人がいる。

今日は何の日だったか。

思い出そうとすると、曜日と品目が、どちらも同じ強さで並んでいる。月曜、火曜、水曜。燃えるもの、燃えないもの、瓶と缶。どこがどこに結びついていたのか、出てこない。

そういえば、母が言っていた。

もえるは、もくよう。

それだけだ。理由はない。木曜が燃えるゴミである理由も、母は知らなかったと思う。ただ、口が二回、同じところで開く。もえる、もくよう。

意味のほうは、はじめから空だった。

空いているところに、音のほうから、細い取っ手が一本かかっている。

二十年経っている。実家を出て、二度引っ越して、収集の曜日は変わった。それでも木曜の朝になると、まだ出てくる。中身を運んでいるのではない。取っ手だけが、先に手に触れる。

一度、意味を足そうとしたことがある。木は燃えるから木曜、と考えた。

そう考えた年の分だけ、かえって出が悪くなった。木は燃える、が正しいかどうかを、口が確かめにいってしまう。

取っ手は、正しくなくてよかった。掴めればよかった。

袋を持った人に、木曜ですよ、と言う。

言ってから気づく。

こちらは、木曜だから燃えるゴミだと思っているのではない。

もえる、もくよう、と口が動いただけだ。


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