
「なんか嫌だ」
「モヤモヤする」
「ムカつく」
こういう言葉は便利です。
自分の中に何かがあることを、
短く知らせてくれます。
でも、
その一語だけで止まると、
部屋全体に霧が広がったように、
何が起きているのか分からなくなることがあります。
たとえば、
誘いを断った夜。
「なんか嫌な感じがする」
少しだけ中を見てみると、
申し訳なさ。
嫌われるかもしれない不安。
断ることができた安心。
一つではないかもしれません。
正しい感情名を当てるゲームではない
ここで、
「これは罪悪感です」
「これは不安です」
と正しい名前を当てる必要はありません。
専門用語を覚えることが目的でもありません。
自分が扱える言葉で、
「相手に悪い気がする」
「嫌われたら嫌だ」
「でも、本当は行きたくなかった」
くらいでもいい。
大切なのは、
一つの大きな『モヤモヤ』の中に、何が一緒に入っているかを見ること
です。
名前を付けても、感情は消えない
感情に名前を付けたら、
急に平気になる。
そういう話ではありません。
不安と分かっても、
不安は残ることがあります。
寂しいと分かっても、
寂しさがなくなるわけではありません。
それでも、
「なんか全部嫌だ」
だったものが、
「不安がある」
「申し訳なさもある」
「少し安心もある」
に変わると、
感情そのものと、
それを見ている自分の間に、
ほんの少し距離ができます。
感情ラベリングというOS
脳のOSでは、
この操作を「感情ラベリング」と呼びます。
名前を付けて封じ込めるためではありません。
感情を分類して、
性格診断をするためでもありません。
感情の中に完全に入り込んだ状態から、
一歩だけ観察できる場所へ移るためです。
そして、
名前が付くと、
人にも少し渡しやすくなります。
「なんか無理」
より、
「怒っているというより、
断ったことで嫌われるのが不安みたい」
の方が、
相手も何を受け取ればいいか分かります。
今日、覚えるのは一つだけ
モヤモヤしたら、
感情語を十個並べる必要はありません。
一つだけ問いを置きます。
この『モヤモヤ』の中には、何が一緒に入っている?
答えが二つでも、
まだ名前が付かなくても構いません。
感情ラベリングの目的は、
正解の名前を見つけることではない。
名前を付けるのは、感情を消すためではなく、感情の中から一歩外へ出るため。
それだけ覚えておけば十分です。


