記憶OS 第6章|イメージ記憶

これだけ覚えよう

  • 覚えたいことを、頭の中の絵に変えてみる。
  • 文字だけでなく、色・大きさ・動きまでつけると、思い出す手がかりを作りやすい。
  • たとえば覚えにくい言葉を、ありえないくらい大きな物や、変な動きをする物として思い浮かべる。
  • 言葉を絵にするだけでなく、絵を見て言葉に戻せるかも確かめる。
  • 「言葉でも言える・頭でも描ける」の両方ができると、分かったつもりにも気づきやすい。

見まいとしても、見える

お願いがある。

ピンク色の象を、想像しないでほしい。

……想像しただろう。しかも、一瞬で。力も入れずに。

これが、映像の力である。

文字は、読もうとしなければ読めない。映像は、見まいとしても見えてしまう。

もうひとつ、質問を。

あなたの家の玄関のドアは、右開きだろうか、左開きだろうか。

今、頭の中で玄関まで見に行ったはずだ。ドアノブの位置。色。開く向き。

誰も、玄関のドアを暗記した覚えはない。それなのに、映像は残っていた。

装置は、もう積んである。使っていないのは、机に向かっているときだけだ。

覚えたいことを、文字ではなく映像に変えて持つこと。それが、イメージ記憶である。

文字は、一列に並んだ列である。映像には、色があり、形があり、大きさがあり、動きがある。

引っかかりが多いほど、あとで指がかかる。単語の一覧より、一枚の絵のほうが、手がかりを多く持っている。

人は文字を読むよりずっと前から、景色と表情を見て生きてきた。

抽象的な言葉も、絵に変えられる。

コツは、三つ。

派手に。動かして。ありえないほど大げさに。

「経済」を覚えたいなら、棒グラフではなく、札束が川になって街を流れていく絵にする。

「光合成」なら、葉っぱが太陽をもぐもぐ食べて、酸素のげっぷをする絵にする。

上品な映像は、忘れる。教科書に載せられない絵ほど、残る。

頭の中は、誰にも見られない。思い切り、ばかばかしくやっていい。

授業を聞きながら、頭の中で上映する。本を読みながら、上映する。それだけで、同じ一時間の残り方が変わる。

二つ目の入口——二重符号化

大事な写真は、二か所に保存する。端末と、クラウドに。片方が壊れる日のためだ。

記憶にも、同じことができる。

言葉で覚えて、映像でも覚える。すると、戻ってくる道が二本になる。

言葉の道が崩れた朝も、映像の道から帰ってこられる。映像がぼやけた日は、言葉が説明してくれる。

やり方は、矢印を往復させるだけでいい。

言葉に出会ったら、丸と矢印だけの落書きにしてみる。図に出会ったら、図を隠して、「つまりこういうことだ」と口で言ってみる。

この往復には、隠れた機能がある。

言葉では読めたのに、図にできない。図は眺められるのに、言葉にできない。

その引っかかりが、分かったつもりの穴である。

翻訳は、本当に分かっている場所しか通してくれない。

図にも言葉にもできたとき、その知識は、もうかなり自分のものになっている。

ピンクの象は、まだそこにいるだろうか。

……いるはずだ。一度しか出てきていないのに、追い出せない。

その、消えなさのほうを使えばいい。


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