
同じ内容を、読者に合わせて書き分ける3分実験
同じことを説明するのに、相手が変われば文章も変わるのでしょうか。
今回は、内容は同じまま、読む人だけを変えて書いてみます。
まずやってみる
1. まず、説明したい内容を一つ決める
今回はこれです。
睡眠中にも脳では記憶の整理が行われるので、勉強したあとに十分な睡眠をとることは大切です。
意味は通じます。
では、この内容を小学生に説明するとしたらどうでしょう。
2. 小学生向けに書き換える
たとえば、
覚えたことは、寝ているあいだにも頭の中で整理されます。だから勉強した日は、夜ふかししすぎず、しっかり寝ることも大切です。
難しい言葉が少し減りました。
文も少し短くなっています。
3. 今度は、大人向けに戻す
学習後の睡眠は、記憶を整理し定着させる過程と関係しています。そのため、学習時間だけでなく、その後の睡眠も学習環境の一部として考える必要があります。
今度は、
- 「学習後」
- 「定着」
- 「学習環境」
のような言葉が増えました。
4. 何を変えたかだけを見る
二つの文章で、伝えたい中心は大きく変わっていません。
変わったのは、
- 言葉
- 一文の長さ
- どこまで説明するか
- 読者が知っていると想定すること
です。
ここから種明かし
読者に合わせるというと、
やさしい言葉にする
だけを考えがちです。
でも実際には、
相手がすでに何を知っていると考えるか
も変えています。
「定着」という言葉を説明なしで使える相手もいれば、別の言葉に置き換えた方がよい相手もいます。
今回は、
同じ内容を、読者の前提に合わせて言い換える
実験でした。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| 小学生 | 言葉を身近にする、文を短めにする |
| 大人 | 抽象語や専門語を使える場合がある |
| 初めて読む人 | 前提から説明する |
| よく知っている人 | 共通知識を省略できる |
文章で見ると?
「分かりやすい文章」は、誰にとって?
同じ文章でも、読む人が違えば分かりやすさは変わります。
難しい言葉を全部なくせばよいわけでもありません。
専門家同士なら、専門語を使った方が短く正確に伝わることもあります。
だから文章を書くときは、
これは誰が読む?
を先に置くと、言葉の選び方が変わります。
記憶学で見ると?
新しい情報は、すでに知っていることと結びつけられると理解しやすくなる場合があります。
そのため、読む人が知っている言葉や経験に合わせて説明すると、情報を受け取る入口を作りやすくなります。
ただし、「やさしい言葉ほど記憶に残る」という単純な話ではありません。
大切なのは、その人が意味をつかめる形になっているかです。
脳のOSで見ると?
言い換え
伝える中心は大きく変えず、読む人に合わせて言葉や表現を変えました。
他には……
- 前提把握: 読者が何を知っていると想定するかを見る。
- 多角的視点: 同じ内容を、異なる読者の立場から考える。
- 具体⇄抽象変換: 抽象的な言葉を身近な表現へ下ろしたり、逆にまとめたりする。
もう一度だけ
次の文を、
この薬は、決められた間隔をあけて飲んでください。
「小学生にも意味が分かる言い方」と「病院の説明書らしい言い方」の二通りにしてみてください。

