記憶OS 第14章|即時想起

これだけ覚えよう

  • 習った直後に、いったん見ないで「今、何が残っている?」を確かめる。
  • 読み終えたら、ページへ戻る前に、内容を言ってみる。
  • 読んでいる間は全部分かった感じがしても、閉じると抜けているところが見つかる。
  • ここで調べたいのは、あとで覚えているかではなく、「今この瞬間に何が入ったか」。
  • 出なかったからダメなのではない。どこまで入ったかが分かれば、この確認の役目は果たしている。

戻らないでください

一行前に、何が書いてありましたか。

まだ何も書いていないので、これはずるい問いです。

では、こうします。次の三行を、いつもの速さで読んでください。覚えようとしなくて構いません。

昨日の夕方、駅の南口の階段の下に、段ボールが三つ積んであった。いちばん上のものだけ口が開いていて、中に緑色の紐が見えた。すぐ横で、白い犬が座って待っていた。

戻らないでください。

いくつ積んでありましたか。

紐は何色でしたか。

犬は、何をしていましたか。

三つとも出た方は、そう多くないはずです。二つは出て、一つが曖昧になる。曖昧になったところが、いま入っていないところです。

戻って読み直せば、全部あります。読み直したあとの感じは、さっきと変わりません。

ここが厄介なところです。読んでいるあいだ、手ざわりは最初から最後まで同じ濃さで続いています。濃さが一定なので、抜けているところが、読んでいるうちは見えない。

一度、出そうとしたときだけ、その平らな面に段ができます。

これは、あとで確かめるための問いではありません。あとまで待つと、別のことが分かります。ここで知りたいのは、いま、この瞬間に何が入ったか、それだけです。

だから、間を空けないでください。

読み終える。目を上げる。まだ一行も戻らないうちに、一度だけ出す。

出るものは、たいてい思っていたより少ない。少ないと分かった時点で、この操作はもう終わっています。増やす作業はここには入っていません。

もう一度、やってみます。

ここまで読み終えたところで、上へ戻らずに、言ってみてください。

いま読んでいたのは、何の話でしたか。

出た分だけが、いま、あなたのほうにあります。

残りは、まだページのほうにあります。


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