第12回|一つの例で説明したら、意味は狭くなる?

抽象的な言葉に、例を一つ置いてみる3分実験

こんな説明があります。

「準備する」とは、あとで困らないように先に整えておくことです。

意味は分かります。

では、例を一つ入れてみます。

まずやってみる

1. 元の説明を読む

「準備する」とは、あとで困らないように先に整えておくことです。

この説明から、どんな場面を想像しましたか?

2. 例を一つ置く

たとえば、明日の朝に慌てないよう、前の晩に学校の持ち物をかばんへ入れておくことです。

かなり分かりやすくなりました。

3. でも、例だけにしてみる

前の晩に学校の持ち物をかばんへ入れておくことです。

これだけだと、

準備=学校の持ち物を入れること

のようにも見えます。

4. 別の例を一つ足す

ほかにも、旅行の前に予約を確認したり、雨が降りそうなら傘を用意したりすることも準備です。

例が増えると、「準備」の範囲が少し広がります。

ここから種明かし

例は、抽象的な言葉を具体的に見せる力があります。

一方で、例が一つしかないと、

その例そのものが意味だと誤解される

ことがあります。

今回は、

例が意味を分かりやすくすると同時に、意味を狭く見せることもある

という実験でした。

ここまでの答えを見比べてみよう

<見るところ> <たとえば>
抽象説明だけ 範囲は広いが、少し掴みにくい
例を一つ置く 一気に具体的になる
例だけにする その例が定義のように見えることがある
別の例を足す 共通する意味が見えやすくなる

文章で見ると?

例は、説明を助けるが、説明そのものではない

例はとても強い道具です。

でも、

例=意味

ではありません。

一つの例だけで説明すると、読み手がその例に引っぱられることがあります。

だから、

  • 抽象説明+例
  • 例を二つ以上
  • 例のあとに共通点を戻す

という方法が使えます。

記憶学で見ると?

抽象的な情報に具体例が付くと、既に知っている出来事や場面と結びつけやすくなります。

このとき大切なのは、

例そのものだけを覚えて、元の意味を失わないこと

です。

複数の例から共通点を見ると、より抽象的な意味へ戻りやすくなります。

脳のOSで見ると?

例示理解

抽象的な意味を、一つの具体例で見える形にしました。

他には……

  • 具体⇄抽象変換: 抽象説明から具体例へ行き、また共通点へ戻る。
  • 境界理解: どこまでが「準備」に入るかを見る。
  • 本質抽出: 複数の例から共通部分を取り出す。
  • 誤解修正: 例そのものを定義だと思わないようにする。

もう一度だけ

次の言葉を、一つの例だけで説明してみてください。

「工夫する」

そのあと、

その例だけで「工夫」の全部を表せている?

と確認してみてください。

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