
これだけ覚えよう
- 「全部しんどい」と感じたら、何が重なっているのか一つずつ書き出してみる。
- 一つならできることでも、同じ時期にいくつも重なると苦しくなることがある。
- 書き出したら、「動かせないもの」「あとでいいもの」「人に頼めるもの」などに分けてみる。
- 中には、本当は自分がやらなくてもよかったことまで抱えている場合もある。
- ストレスは量だけでなく、「何が同じ時間に重なっているか」を見る。
同じ回路
夕方、電子レンジを回したら、同じ部屋の家電がまとめて止まった。
廊下の分電盤まで歩く。落ちているのは一つだけだった。上げると、また動き出す。
電子レンジだけが原因ではない。
その少し前に、乾燥機を回していた。さらにその前から、暖房がついていた。三つとも、この家では同じ一本の回路につながっている。
一つずつなら、どれも落ちない。
三つが同じ時間に重なると、落ちる。
このごろの毎日も、たぶん同じ形をしている。
「全部しんどい」と言うとき、しんどさが一つの大きな塊としてあるように感じる。けれど、感じているのは合計のほうで、中身は別々だ。
紙に書き出してみると、四つあった。
来週の提出物。父の通院の付き添い。家の更新の手続き。返していない連絡が三件。
四つとも、同じ一本につながっている。つながっている先は、こちらの一日である。
分電盤の前でやったことを、そのままやってみる。
暖房は、消せない。寒いから。これは変えられない側だ。
乾燥機は、明日でもいい。今日でなくてもいいものが、今日に乗っていた。
電子レンジは、他の人でも回せる。付き添いの日、車を出すのは自分でなくてもいい。頼めば、たぶん出してくれる。
そして、四つのうち一つは、そもそもこちらの回路につながっていなかった。返していない連絡のうち二件は、返事を待たれてすらいない。こちらが勝手に引き込んでいた。
書き出す前は、四つが一つの重さだった。
書き出したあとも、重さの合計はそれほど変わらない。手続きは残るし、提出物も残る。
変わったのは、どれとどれが同じ時間に重なっているか、が見えたことだ。
落ちるのは、量だけのせいではなかった。同じ時間に重なることも、効いていた。
分電盤の蓋を閉める。
今夜、乾燥機は回さない。
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