記憶OS 第20章|自己説明

これだけ覚えよう

  • 習ったことを、何も見ずに自分の言葉で説明してみる。
  • 誰かに聞かせる必要はない。一人で「つまり、どういうこと?」と話してみてもいい。
  • 覚えた文章の順番どおりなら言えても、別の言い方にすると止まることがある。
  • 言い方を変えたり、順番を変えたりすると、本当に分かっているところと、文章の形だけ覚えていたところが見えやすい。
  • 「同じ内容を、別の言い方でも説明できる?」と試してみる。

誰もいない車の中で

信号が長い。

先週読んだ仕組みのことを、声に出してみる。

車の中には誰もいない。だから、分かりやすくする必要がない。相手が知っているかどうかも、退屈していないかも、考えなくていい。整えるための手間を全部やめると、残るのは、口が動くか動かないか、それだけになる。

最初の三十秒は、よく動く。

順に並べて、これがこうなって、と言える。読んだときに残っていた形が、そのまま出てくる。

「つまり、」

と言って、止まる。

つまり、の先が出ない。

同じことを、もう一度、別の言い方で言おうとしてみる。順番を変えて、後ろのほうから話し始める。すると、さっきなめらかに通り過ぎたところで、今度は止まる。

一度目の言い方は、覚えていた。

一度目の言い方に乗っていたものが、中身と同じものだとは限らなかった。

言い方を替えたときに落ちるのは、たいてい、言葉のつなぎ目に預けていた部分だ。「これがこうなって」の、こうなって、のところ。読んだ文の並びが持っていてくれたので、こちらは持たなくてよかった。

信号が青になる。

止まった場所は二つ。「つまり」の先と、後ろから話したときの真ん中。

どちらも、読んでいるあいだは、止まる場所には見えなかった。

聞いてくれる人がいたら、たぶん、うまく飛ばせていた。


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