理解OS 第3章|具体⇄抽象変換

これだけ覚えよう

  • りんご・バナナ・いちご →「つまり、果物」。 いくつかのものに共通するところをまとめるのが「抽象化」。
  • 「果物」→「たとえば、りんご」。 大きくまとめた言葉から一つの例へ戻すのが「具体化」。
  • 覚え方は、抽象化=「つまり?」、具体化=「たとえば?」でいい。
  • 「犬・猫・ハムスター → ペット」のように、いくつかの例から共通する形を見つけると、別の場面でも使いやすくなる。
  • 「つまり」と「たとえば」を行ったり来たりできると、本当に分かっているか確かめやすい。

折り筋

子どもが折った鶴が、机の上にある。

首が少し曲がっている。翼の高さも揃っていない。
それでも、鶴だった。

わたしはそれを、そっと開く。

翼がほどけ、首が消え、胴がひらたくなる。
最後に、正方形の紙が戻ってくる。

けれど、もとの紙ではない。

白い面に、細い線が走っている。
縦に、斜めに、途中で交わって。
折り筋。

折り筋は鶴ではない。飛ばない。首もない。指で触れても、ただの紙だ。
名前を言えと言われたら、困る。

だが、その紙をもう一度たためば、鶴になる。
線をひとつ選び直せば、舟にもなる。

具体を抽象にするとは、鶴を捨てて白紙に戻ることではない。
鶴の通った道を、線として残すことだ。

抽象がつまらないと感じるとき、たいてい、折り筋まで消してしまっている。
「これは鶴です」を「これは鳥です」にし、「これは動物です」にし、「これは物です」にする。
そのころには、たたみ直す線がどこにもない。
手のなかにあるのは、抽象ではなく、ただの白紙だ。

良い抽象には、必ず折り返せる線がある。
「鳥」と言ったあとで、あの首の曲がりまで戻れる。
戻れない言葉は、抽象ではない。放棄だ。

そして、具体へ降りるというのも、新しく作ることではない。
線に沿って、もう一度たたむだけだ。
だから速い。だから、たいてい、前より正確に折れる。

机の上の鶴を開くとき、
わたしはそれをこわしているのではない。

次に折るための線を、受け取っている。


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