
これだけ覚えよう
- 疲れているときの考えを、いつもの自分の判断と同じだと思わない。
- 夜になると、「全部ダメだ」「自分には向いていない」と、話を大きくしたくなる日もある。
- そんなときは、内容の問題なのか、自分が疲れているせいでそう見えているのかを一度分けてみる。
- 大きな決断や重い返事は、できるなら休んだあとにもう一度見る。
- 限界まで疲れてから休むのではなく、まだ余裕があるうちに休む時間を入れておく。
暗くなってから読んだ
夕方、同じ紙を三度読んだ。
三度目で、文字が小さくなったと思った。
老眼だろうか、と考えて、顔を上げた。窓の外が、青くなっている。
小さくなったのは文字ではなかった。部屋が暗くなっていた。
電気をつける。
同じ紙が、さっきよりはっきり見える。読み直すと、二度目に読んだときに思ったことが、少しおかしい。
暗いところで読んだ二度目に、こちらはこう思っていた。この件は、たぶんうまくいかない。自分が向いていないのだと思う。この仕事を続けるのが正しいのかも分からない。
明るいところで読んでいる三度目には、そこまでのことは書かれていない。
書かれていたのは、日程が二週間ずれるという一行だけだった。
暗さは、文字を消さない。
読みにくくするだけだ。読みにくいものを、こちらは読み取ろうとする。読み取れない部分には、手持ちのもので埋める。夕方に手元にあるのは、たいてい、疲れているほうの材料である。
だから、暗くなってから出した結論は、内容についての結論ではなく、暗さについての結論に近い。
厄介なのは、暗くなったことに気づかないところだ。
だんだん暗くなるので、境目がない。文字が小さくなった、と思うほうが先に来る。
いくつか、覚えのある言い方がある。
自分は向いていない。あの人は、たぶん、こちらをよく思っていない。全部やり直したほうがいい。
夕方の四時から、こういう言い方が増える。朝の九時には、同じことを考えていても、言い方が違う。
だから、電気は、暗くなってからではなく、暗くなる前につける。
休む日も、たぶん同じだ。倒れてから決めるのではなく、まだ読める時間に、先に決めておく。
別の紙に持ち替えるのは、電気をつけたことにはならない。暗い部屋で、違う紙を読んでいるだけだ。
今夜の三度目で、こう決めた。
日程がずれる件は、明日の朝、返事を書く。
書きかけの一行だけ残して、消す。
朝、その一行から始められる。
この考え方を普通の言葉で読む
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