
ゲームを2時間から1時間に減らす。
すると1時間空く。
だから、その1時間は勉強になる。
算数としてはきれいです。
でも、行動はそのまま足し算になりません。
ゲーム時間を減らすことと、勉強時間を増やすことは同じ操作ではありません。
時間の引き算と、行動の足し算は違う
ゲームが30分減った。
すると30分の空き時間ができます。
でもその30分が、
- 勉強
- YouTube
- SNS
- 休憩
- 別の遊び
- ぼんやりする時間
のどれになるかは、別の問題です。
ゲーム削減は、
時間を空ける介入
です。
勉強増加は、
その空いた時間に勉強を発生させる介入
です。
この二つを分けて考えます。
日本の縦断研究では、ゲーム・テレビ時間の影響は小さかった
日本の小学校低学年を対象にした縦断データ分析では、テレビ・ゲーム時間が長いほど勉強時間が短くなる方向の因果関係が推定されています。
ただし、その効果量は非常に小さいものでした。
英語解説では、追加1時間のテレビ・ゲーム時間に対する勉強時間の減少は、男子で最大1.86分、女子で最大2.70分と報告されています。
研究側も、
テレビ・ゲーム時間を制限すれば、その分だけ勉強時間が増える
という単純な関係ではないことを示しています。
ここで注意したいこと
対象は日本の小学校低学年です。
この数字を中学生、高校生、すべての子どもへそのまま一般化することはできません。
10代を対象にした別研究では、より大きなcrowding-outが推定された例もあります。
「ゲームを減らせた」を成功にしてよいのか
ゲーム時間を1時間減らせた。
これは、ゲーム時間削減という目標には成功しています。
でも目的が、
勉強時間を増やしたい
なら、見るべき結果は別です。
- 勉強を始める回数が増えたか
- 勉強時間が増えたか
- 学習成果へつながったか
- 空いた時間が別の行動へ移っただけではないか
まで見ないと、本来の目的を評価できません。
ゲーム制限そのものが無意味という話ではない
ここは誤解しないでください。
ゲーム時間を制限する目的は、勉強だけではありません。
- 睡眠を確保する
- 生活リズムを整える
- 家族の時間を取る
- 他の活動の時間を確保する
ために制限することもあります。
この記事で見ているのは、
「勉強時間を増やす」という目的に対して、ゲーム削減だけで十分か
という一点です。
空いた時間に「勉強する理由」はあるか
ゲームをやめた。
机も空いている。
時間もある。
それでも、
- 何から始めるか分からない
- 難しすぎる
- 失敗すると次の一手が分からない
- 上達している感覚がない
なら、空いた時間が自動で勉強になるとは限りません。
GAME-03とGAME-04で見たように、勉強側にも、
- 次に何をすればいいか分かる
- 少し進めそう
- 前よりできている
という条件が必要になることがあります。
ここでは詳しく繰り返しません。
→ GAME-03:負けても終わらない|失敗のあとに「次の一手」が残るか
見るべきなのは「減った時間」より「移った時間」
ゲーム時間を減らした後に見るのは、
ゲームが何分減ったか
だけではありません。
その時間が、実際に何へ移ったか
です。
ゲームが1時間減って、勉強が10分増え、睡眠が30分増えた。
それなら、それは「勉強1時間」ではありません。
でも睡眠を増やすことが目的なら、別の意味で成功かもしれません。
目的変数を決めないまま、
× ゲームを減らした=成功
にすると、何が変わったのか分からなくなります。
ゲーム時間の話をするとき、操作を二つに分ける
最終的には、次の二つを別々に考えます。
- ゲーム時間を減らす
- 勉強時間を増やす
この二つが同時に動くこともあります。
でも、必ず連動するわけではありません。
だから、
ゲームを何分減らすか
だけでなく、
勉強が始まる条件をどう作るか
も別に考える。
これがこの記事の結論です。
このシリーズを通して見えてくること
ここまで、
を見てきました。
ゲームを理解する目的は、
ゲームを正当化すること
ではありません。
ゲームの中で起きている行動の構造を細かく見ることで、
「ゲームを減らせば解決する」という一手だけでは見えなかったものを増やす
ことです。
研究について
この記事の中心に使った日本の研究は、小学校低学年を対象にした縦断データ分析です。
対象年齢や研究設計が限られるため、すべての年齢へ一般化はしません。
「時間を空ける」と「勉強を発生させる」は別介入である、という整理は、その研究結果を踏まえたこのサイト側の分析です。
シリーズ内リンク: 入口|オンラインゲーム入門 / 前|GAME-04 上達の途中


