
子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?
「将来役に立つから」「考える力がつくから」「記憶力がよくなるから」「計画を立てて実行できるようになるから」。どれも、勉強することで得られるものを説明した答えです。
でも、子どもがそうしたことをすでに分かったうえで質問していたら、どうでしょう。
「数学的な考え方が身につくのは分かった。でも、なんでそれを身につけなきゃいけないの?」
こう聞かれたとき、能力の効用をもう一度説明しても、同じところを回ってしまいます。子どもが尋ねているのは、「勉強で何が得られるか」ではなく、「なぜ自分にそれが必要なのか」だからです。
一般的な答えと、その子自身の答えは違います
勉強することには、知識を増やす以外にも、考え方を学んだり、覚え方を工夫したり、計画して取り組んだりする経験があります。こうした一般的な利点は、説明できます。
しかし、その利点がその子にとってどんな意味を持つかは、別の問いです。
例えば、サッカーが好きな子なら、試合の状況を読み取る力や、作戦を考える力をもっと磨きたいかもしれません。その子と一緒に「授業で考えることと、サッカーで考えることには、どんな共通点があるかな」と考えられます。
医師になりたいと思っている子なら、理科や数学を学ぶ理由を、将来の目標と結びつけて考えられるでしょう。
ただし、サッカーが好きだから勉強が必ずサッカーに役立つ、と保証できるわけではありません。どちらも本人が考えるための例です。好きなものを持ち出して説得することが目的ではありません。
すぐに答えが見つからなくてもいい
将来の夢がまだ決まっていない子に、「夢を見つければ勉強の意味が分かる」と迫る必要はありません。大人にも、自分の学んだことが何に役立ったのか、何年もたって初めて気づく経験があります。
勉強しているそのときには意味が見えなくても、後から「あのときの勉強は、こういうことにつながっていたんだ」と分かる。ここでいう逆順理解は、そんな経験を表した考え方です。
もちろん、「いつか必ず役立つ」と言い切ることもできません。未来の自分に必要なものは、今の時点では分からないからです。
だからこそ、「まだ答えが見つからない」という状態を、親子で認めてよいと思います。
私なら、こう答えます
「勉強すると、いろいろなことを考えられるようになったり、できることが増えたりするよ。でも、それがあなたにとってどういう意味を持つかは、私にも全部は分からない。今好きなことや、やってみたいこととつながるか、一緒に考えてみよう。今は分からなくても、あとで気づくことだってあると思うよ」
答えは家庭や子どもの年齢によって違うでしょう。この文章をそのまま言う必要もありません。
伝えたいのは、一般論を押しつけるよりも、その子にとっての勉強の意味を一緒に考えるという姿勢です。
子どもの「なぜ?」にすぐ答えられなくても、それで終わりではありません。親も考えていると伝えられたら、その問いは、二人で話し続けられる問いになります。
関連するOS・記憶学
「勉強が必要な理由」を一つに決める前に、子ども自身には何が大切なのかと問い直すことができます。この見方を別の場面にも広げたいときは、思考OS 第5章「問いを置き直す」を読んでみてください。

