
計算問題を10問続けて解く方法と、分数・割合・方程式を交互に解く方法。どちらがよいのでしょう。答えは、何を練習したいかによって変わります。手順そのものを覚える練習と、問題を見てどの手順を使うか選ぶ練習は、同じではありません。
同じ種類を続けると何が起こる?
一次方程式の問題を10問続けて解くとします。最初は式の変形に迷っても、三問目、四問目では手順がなめらかになるかもしれません。この練習では、目の前の問題が一次方程式だと最初から分かっているため、「どの解法を選ぶか」という判断の負担は小さくなっています。
これは悪いことではありません。基本的な手順をまだ覚えていない段階では、同じ考え方を続けて確かめる意味があります。ただし、それだけで別の形の文章題に対応できるとは限りません。
混ぜると新しく必要になる判断
分数の文章題、比例、一次方程式を交互に出されると、計算を始める前に「どの考え方が使えるか」を判断する必要があります。たとえば「同じ割合で増える話」と「毎回同じ量ずつ増える話」では、立てる式が違うことがあります。問題の種類が分からない状態こそ、学校のテストや日常の課題に近い場面です。
混合問題で最初の正答率が下がったとしても、必ずしも学習が後退したとは限りません。新しく「解法を選ぶ」という課題が加わったからです。反対に、混ぜた途端に混乱するなら、先に基本の手順を整理し直す必要があるかもしれません。
目の前の正答率だけで決めない
架空の学習記録を考えます。Aさんは同型10問を続けて解いて、その日は9問正解しました。Bさんは異なる種類を混ぜて、その日は7問正解しました。この結果だけでAさんの学習法が優れているとは言えません。問題の難しさも異なりますし、翌週に出題順を変えたら結果が入れ替わるかもしれません。
比べたいのは、練習直後の気持ちよさなのか、翌週に自分で解法を選べることなのか。目標を決めてから、確かめる方法を選びます。「今すぐ正解できた」ことと「時間を置いて使える」ことは区別しましょう。
二つの練習を組み合わせる
まず、新しい計算の手順が分かるまで同種の問題を少し解きます。次に、以前学んだ別の考え方と混ぜます。さらに数日後、どちらの方法で解くか分からない状態で解いてみます。これなら、手順の習得と、解法を選ぶ練習の両方を扱えます。
ただし、学年や単元、本人の理解度によって合う進め方は変わります。混ぜれば必ず全員の点数が上がるという保証はありません。効果を比べるときは、問題の難しさや学習時間をそろえる必要があります。
自宅でできる小さな比較
すでに習った二種類の計算を選び、一日目はAを5問、Bを5問の順で解きます。別の日に似た難しさの新しい問題を選び、AとBを交互に解きます。それぞれの正答率だけでなく、「どの種類か気づくまでの時間」「間違いの種類」を書きます。
この小さな実験から学習法の一般的な優劣は断定できません。しかし、自分が手順でつまずくのか、解法の選択でつまずくのかを見つける材料にはなります。問題を混ぜて解く意味が、自分の中で説明できるようになります。
「混ぜる」と「間を空ける」を一緒にしない
違う種類の問題を交互に解くことと、同じ内容を数日に分けて復習することは、それぞれ別の工夫です。ある学習法が良く見えたとき、二つを同時に変えていたなら、どちらが役立ったか分からなくなります。
RohrerとTaylorによる2007年の数学学習研究では、練習をまとめるか間隔を空けるか、種類ごとに固めるか混ぜるかを別々に調べた実験が報告されています。https://digitalcommons.usf.edu/psy_facpub/1767/。ただしその結果を、すべての学年・単元・学習者に同じ程度の効果があるという意味で受け取ってはいけません。
解法を選ぶ練習の例
「1個80円の鉛筆を5個買う」の問いなら、同じ単価を回数分足す考え方が使えます。「300円を3人で同じ額ずつ分ける」なら、等分する考え方が必要です。この二問を一緒に出すと、答えを計算するだけでなく、問題文から何を求めているか読む練習になります。
ただし、文章題の読み取りでつまずいている学習者に急に多種類を混ぜると、何が分からないのか見えにくくなる場合があります。先に一種類の意味を確認し、その後で別の種類と並べて違いを説明してみます。
新しい単元を学んだ当日に混ぜるべき?
比例を習った直後に、以前の分数・面積・方程式の問題を一度に混ぜると、何が分からないのか特定しにくい人もいるでしょう。まず比例の意味と手順を確かめ、翌日や翌週にほかの種類と一緒に解いてみる方法があります。
練習の順序は、いつも混ぜるか、いつも固めるかの二択ではありません。新しい知識を確かめる段階と、すでに習った知識を使い分ける段階を分けると、順番を変える理由がはっきりします。
問題を混ぜたときに間違いが増えたら
間違えた理由を「手順が曖昧」「問題の種類を見分けられない」の二つに分けます。手順自体が曖昧なら、一度その種類だけへ戻って考え方を確認します。解法の選択で迷うなら、二つの問題を並べ、どの言葉が手掛かりになったか説明してみます。
混合練習を続けるか、少し戻るかは、正答率だけでなく、つまずいた場所から選べます。順番を変えることを目的化しないことが大切です。
順番は学習の目的に合わせて変えて構いません。
勉強の順番も、練習したい能力で決める
新しいことを理解する時間には、同じ種類の問題を続ける方法が合う場合があります。覚えたことを使い分ける時間には、種類を混ぜる意味があります。問題の順番はただの並びではなく、どんな判断を練習するかを決める設計の一部なのです。

