
これだけ覚えよう
- 最初に思いついた答えを、いきなり正解にしない。
- 「たぶんこうだ」と答えを一つ置いて、本当にそうか確かめてみる。
- 自分の考えに合う証拠だけでなく、「もし違うなら?」という証拠も探す。
- 確かめて違っていたら、失敗ではない。答えを直せばいい。
- 仮説は「正解」ではなく、「まず試してみる答え」。
味を、見る
思いついた答えは、正しく見える。
自分で思いついたものだから、なおさらだ。
そして人は、正しく見えたものを、確かめずに使い始める。
料理人は、それをしない。
客に出す前に、味を見る。
「たぶん、いい味だ」で皿を出さず、一口すくって、舌にのせる。
思いつきと、料理の間には、味見がある。
立てた答えを、確かめて、必要なら直すこと。それが、仮説と検証である。
答えを思いつくのは、難しくない。
難しいのは、その答えを疑うことのほうだ。
「この店が流行らないのは、場所が悪いからだ」
そう思った瞬間、人は、その考えを裏づけるものばかりを探し始める。
人通りの少ない時間帯を見て、「やはり場所だ」と頷く。
繁盛している別の店が、同じくらい奥まった場所にあることには、目が向かない。
見たいものだけを見て、確かめた気になる。
これが、いちばん多い落とし穴だ。
自分の答えに都合のいい証拠は、探せばいくらでも見つかる。
だから、自分の答えを味見するときは、まず反対側から一口すくう。
「もし、場所のせいでないとしたら?」
味ではなく、料理、値段、接客。
一つずつ、別の原因を疑ってみる。
自分の説がそれでも生き残ったら、そのときは、少し信じていい。
確かめ方は、大げさでなくていい。
一日だけ、店の前に立って、通る人の数を数えてみる。
近くの流行っている店を、一度、客として訪ねてみる。
小さくてもいい。頭の中だけで完結させず、外の世界に一度、聞く。
思いつきは、机の上で育つ。
検証は、外の風に当てて、初めてできる。
そして、味が違っていたら、直せばいい。
外れた答えは、次に試す場所を、一つ減らしてくれている。
最後にいい味を出す人は、外れた答えを、外れたと認めて鍋へ戻れる。
出す前に、一口。
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