カーテンを閉めれば教室は涼しくなる? 温度の測り方から考える

夏の午後、窓から日光が差し込む教室で「カーテンを閉めた方が涼しくなるかな」と話したとします。日差しを遮ると、机や床に直接当たる光は減ります。しかし、実際に何度涼しくなるかは、カーテンの材質、窓の向き、外気温、換気、空調などによって変わります。「カーテンは涼しい」「効果がない」と一つの答えを決める前に、何を測ると確かめられるかを考えてみましょう。

ここでは学校でできる観察実験を題材にします。危険な暑さの中で実験を続けたり、換気や空調を意図的に止めたりしないでください。熱中症対策では、学校の安全上の判断を最優先します。

「涼しい」を三つに分ける

「涼しい」という言葉には、少なくとも三つの意味が混じることがあります。一つ目は温度計で測った空気の温度。二つ目は日光が直接当たって皮膚や机が熱く感じること。三つ目は風や湿度を含めた人の体感です。

例えば、カーテンを閉めた直後に机へ当たる直射日光が減っても、教室全体の空気の温度がすぐ下がるとは限りません。逆に温度計の表示が同じでも、直射日光が体に当たらなくなれば感じ方は変わる場合があります。「カーテンを閉めると涼しい」と答えるには、どの意味の涼しさを確かめたいか決める必要があります。

温度計をどこに置きますか

同じ教室でも、窓際の机と廊下側の机では条件が違います。日光が当たる場所に温度計を置いた場合、温度計そのものが光で温まって、空気の温度とは違う値を示す可能性があります。

比べるなら、直射日光が当たりにくく、床からの高さが同じ位置を選ぶなど、測定方法をそろえます。学校にある温度計が使えるか、設置場所は安全かは先生に確認します。測定器が違うと機器ごとの誤差が混じるため、同じ温度計を使い、条件を変える際に十分な時間を取る方法も考えられます。

違う日に測ると、何が混ざる?

月曜日はカーテンを開けて室温30度、水曜日は閉めて28度だったとします。差は2度です。だからといってカーテンが室温を2度下げたとは言えません。月曜日と水曜日では外気温や雲の量、授業中の人数、空調の設定が違っているかもしれないからです。

記録しておきたいのは、日時、外の天候、測る場所、窓の開閉、空調の使用、カーテンの状態などです。全部の条件を完全にそろえるのは難しいものの、何が違ったかが分かれば、数字だけを見て結論を出す危険を減らせます。

同じ時間に二つの場所を比べる方法

安全な範囲で、似た窓がある二つの教室を使えるなら、一方はカーテンを閉め、もう一方は開けた状態を比べる案があります。外気温や時刻は比較的そろいますが、教室の大きさ、窓の向き、人数、空調が違えば公平な比較になりません。

反対に、一つの教室でカーテンを開けた状態と閉めた状態を順番に測ると、場所の条件はそろいやすくなります。しかし測っている時間が違い、太陽の位置や外気温が変わります。どちらにも長所と弱点があるため、「一つだけの正しい実験方法」が決まるわけではありません。今回は実験を始める前に、それぞれ何が比較できて何ができないか書いてみます。

机の表面温度と空気の温度を混同しない

日光が当たった机は温まりやすく、日陰の机は温まり方が違うことがあります。この場合に確かめたいのは机の表面温度です。空気温度を測るための普通の温度計を机に押し当てた数字だけでは、表面の正確な温度を調べたとは言えません。専用の測定器が必要な場合があります。

「机は熱くなくなった」と「教室の空気が何度下がった」は、違う観測です。二つを区別すると、カーテンの影響を説明するときに言い過ぎずに済みます。

架空の記録表を作ってみよう

実際の測定をする前に、次のような架空の記録表を作り、何を読み取れるか考えます。

時刻 カーテン 温度計の値 外気温 空調
13:00 開 29.5℃ 31.0℃ 使用中
13:20 閉 29.3℃ 31.2℃ 使用中
13:40 閉 29.0℃ 31.4℃ 使用中

この表では室温が0.5度下がったように見えます。しかし、空調が使われているので、温度変化のすべてをカーテンの効果と読むことはできません。カーテンを閉めなかった場合の同じ時刻の室温が分からないことも重要です。測定値は結果を記録したものですが、「何が原因だったか」はまだ検討する必要があります。

この表の数字は例示用であり、実験によって得られた実測結果ではありません。記事を読んだ人が実験の効果だと取り違えないよう、架空であることを明示します。

カーテンの色や材質でも条件が変わる

カーテンと一口に言っても、薄い布、厚い布、遮光用の布など種類があります。光を通す程度が違えば、床や机に当たる日光も変わるでしょう。窓の外にあるひさし、木陰、ブラインドも比較対象になります。

ただし、一般に「黒い布なら必ず涼しい」「白い布が必ず一番」とは決められません。光の吸収、反射、窓と布の間の空気の動きなどが関係するため、実際の設置条件を見ずに順位をつけることはできません。

グラフにするときは何を書く?

温度変化を折れ線グラフにするなら、横軸は時刻、縦軸は温度と単位を書きます。途中で条件が変わった時刻には印を付けます。測定の間隔が10分か20分かも書きましょう。測っていない時間の温度を、折れ線が通っているという理由だけで実測値だと扱わないようにします。

カーテンの違いを見たいのに、外気温も急に変わった時間を何も説明せず混ぜれば、グラフはきれいでも結論が怪しくなります。測定後に都合の良い部分だけを選ぶより、最初に「どの時間帯を比較するか」を決めておく方が読み手に説明しやすくなります。

結果が予想と違ったとき

カーテンを閉めたのに温度計の数値が下がらなかったとします。それは実験が失敗したという意味ではありません。直射日光が減ったか、測定位置は適切だったか、外気温と空調の変化はどうだったかなど、新しい問いが生まれます。逆に数値が下がった場合も、それだけでカーテンが唯一の原因だったとは言えません。

「変化しなかった」という結果を捨てずに残すことは、考える力を育てるうえで大切です。良い実験とは、期待していた答えが出る実験ではなく、どこまで確かめたかが分かる実験です。

まとめ:測るものを先に決める

カーテンによって日差しが遮られることと、室温が下がることと、人が涼しく感じることは関連していても同一ではありません。比べる前に、測るもの、測る場所、変える条件、変えない条件を書き分けましょう。実際に測るときは先生と安全を確認し、無理に暑い環境を作らないことも必要です。

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