第5回|一文を半分にすると、読みやすくなる?

長い一文を分けてみる3分実験

長い文を見ると、

もっと短くした方がいい

と思うことがあります。

でも、長い文は全部だめなのでしょうか。

今回は、内容をほとんど変えずに、文の切れ目だけを動かしてみます。

まずやってみる

1. 元の一文を読む

放課後、雨が強くなってきたので、私は図書館で少し待ってから帰ろうと思ったけれど、友達から駅まで一緒に行こうとメッセージが来たので、急いで本を返して外へ出た。

意味は分かります。

でも、一度で頭に入ってきましたか?

2. まず、二文に分ける

どこで切るか、自分で決めてみてください。

たとえば、

放課後、雨が強くなってきたので、私は図書館で少し待ってから帰ろうと思った。 けれど、友達から駅まで一緒に行こうとメッセージが来たので、急いで本を返して外へ出た。

3. 今度は、三文に分ける

放課後、雨が強くなってきた。 私は図書館で少し待ってから帰ろうと思った。 けれど、友達から「駅まで一緒に行こう」とメッセージが来たので、急いで本を返して外へ出た。

読み味は変わりましたか?

4. 切りすぎた版も作る

放課後だった。 雨が強くなった。 私は図書館にいた。 少し待とうと思った。 友達から連絡が来た。 私は本を返した。 外へ出た。

短くなりました。

でも、読みやすさはどうでしょう。

ここから種明かし

文を短くすると、それだけで必ず読みやすくなるわけではありません。

大事なのは、

どこまでを一つのまとまりとして読ませたいか

です。

今回の文には、

  1. 雨が強くなる
  2. 図書館で待とうとする
  3. 友達から連絡が来る
  4. 行動を変える

という流れがありました。

文を分けると、そのまとまりが見えやすくなることがあります。

逆に細かく切りすぎると、今度は流れがばらばらに見えることがあります。

ここまでの答えを見比べてみよう

<見るところ> <たとえば>
一文のまま 出来事が一気につながっている
二文 「待つつもり」から「行動変更」へ分かれる
三文 出来事の段階がさらに見えやすい
細かく切る 一つ一つは短いが、流れが弱くなることもある

文章で見ると?

文の長さより、まとまりを見る

「一文は短い方がいい」というルールだけでは足りません。

長くても、

  • 一つの動きとして自然
  • 関係が分かる
  • 途中で迷わない

なら読めます。

逆に短文ばかりでも、関係が分からなければ読みづらくなります。

今回は、長さそのものではなく、意味のまとまりに合わせて切る実験でした。

記憶学で見ると?

一度に扱う情報が多いとき、いくつかのまとまりに分けると整理しやすくなることがあります。

今回なら、

  • 雨
  • 待つ予定
  • 友達から連絡
  • 行動変更

という流れです。

ただし、細かく分ければ分けるほど記憶しやすくなる、という意味ではありません。

意味のあるまとまりにすることが大切です。

記憶OSから補足

(記憶OSは「脳のOS」の一部です)

チャンク化

複数の情報を、一つ一つばらばらに扱うのではなく、意味のあるまとまりとして扱う方法です。

今回なら、文を切る場所を考えることが、そのまとまりを見つける作業にもなっています。

脳のOSで見ると?

構造分解

長い一文の中に入っている出来事を、意味のまとまりごとに分けました。

他には……

  • 因果関係: 雨、予定、連絡、行動変更のつながりを見る。
  • 境界理解: どこまでを一文に含めるか、その切れ目を考える。
  • 全体→部分: 一つの長い文を、いくつかの部分として見直す。

もう一度だけ

次の一文を、二文か三文に分けてください。

朝寝坊したので急いで家を出たけれど駅へ向かう途中で宿題を机の上に置いたままだと気づき、取りに戻るかそのまま学校へ行くか迷った。

どこで切ると、一番流れが分かりやすいでしょうか。

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