感情OS 第17章|最小行動設計

これだけ覚えよう

  • やる気が出なくて始められないときは、最初の一歩を小さくする。
  • 「1時間勉強する」では重いなら、まず「教科書を開く」まで小さくしていい。
  • 「本を読む」ではなく「本を開く」、「運動する」ではなく「靴を履く」のように、最初の動作を決める。
  • 始めたあとに続けられそうなら続ければいいし、その小さな一歩だけで終わる日があってもいい。
  • 目標を小さくするのではなく、「始めるまで」を小さくする。

朝、自転車にまたがる。

最初のひと漕ぎは、
立ち上がるほど重い。

三漕ぎ目には、
もう忘れている。

重かったのは坂ではなく、
止まっていたことだった。

やる気が出たら、やろう。

そう思って、
何日が過ぎただろう。

先に、種明かしをしたい。

やる気は、
始める前には来ない。

始めた後に、来る。

手を動かしているうちに、
脳が温まって、
続けたくなってくる。

僕らは、順番を
間違えて待っていたのだ。

やる気が出たから、
動くのではない。

動いたから、やる気が出る。

最小行動設計とは、
やる気がゼロの日でも
始められる大きさまで、
行動を削ることである。

■目標ではなく、開始条件を決める

「毎日一時間、勉強する」

これは、重い。

やる気のない日には、
持ち上がらない。

だから、削る。

「教科書を、開く」

ここまで削る。

削るときのコツは、
成果ではなく、
開始の動作を決めることだ。

本を読む、ではなく、
本を開く。

運動する、ではなく、
靴を履く。

書く、ではなく、
ファイルを開く。

開くだけなら、
やる気は要らない。

そして開いてしまえば、
ペダルは、
もう回り始めている。

■ゼロと一の間に、崖がある

数字の上では、
一時間と五分の差は大きい。

でも行動の世界では、
崖は別の場所にある。

ゼロと一の間だ。

やらなかった日と、
一分でもやった日。

この二つは、
別の一日である。

一分やった日は、
「やっている人」の一日だ。

翌日、続きから始められる。

ゼロの日は、
翌日また、
あの重い漕ぎ出しに戻る。

一から十は、坂道だが、
ゼロから一は、崖なのだ。

だから作戦は、ひとつ。

崖だけは、毎日越えておく。

坂は、登れる日に
登ればいい。

■小ささが、自分を守る

最小行動には、
もう一つ働きがある。

大きな目標ばかり立てて、
達成できない日が続くと、
脳は静かに学習する。

自分は、続かない人間だ。

決めても、どうせやらない。

この学習が、
次の挑戦の足を重くする。

腕立て一回。

一行読む。

一個だけ捨てる。

ばかばかしいほど
小さくても、
果たされた約束は、
約束である。

自分との約束が
守られる日が続くと、
脳は逆のことを
学び始める。

自分は、決めたことを
やる人間だ。

その感覚が、
次の日の漕ぎ出しを
軽くする。

■今日のひと漕ぎ

止まっている自転車が
重いのは、
脚のせいではない。

止まっているものは重く、
動いているものは軽い。

ただ、それだけのことだ。

今夜、重く見えている
仕事があるなら、
持ち上がる大きさまで
削ってみてほしい。

ファイルを開くだけ。

靴を履くだけ。

一漕ぎで終わった日も、
あなたは止まらなかった。

その一漕ぎが、
明日のペダルを
少し軽くしている。


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