
これだけ覚えよう
- やる気が出なくて始められないときは、最初の一歩を小さくする。
- 「1時間勉強する」では重いなら、まず「教科書を開く」まで小さくしていい。
- 「本を読む」ではなく「本を開く」、「運動する」ではなく「靴を履く」のように、最初の動作を決める。
- 始めたあとに続けられそうなら続ければいいし、その小さな一歩だけで終わる日があってもいい。
- 目標を小さくするのではなく、「始めるまで」を小さくする。
朝、自転車にまたがる。
最初のひと漕ぎは、
立ち上がるほど重い。
三漕ぎ目には、
もう忘れている。
重かったのは坂ではなく、
止まっていたことだった。
やる気が出たら、やろう。
そう思って、
何日が過ぎただろう。
先に、種明かしをしたい。
やる気は、
始める前には来ない。
始めた後に、来る。
手を動かしているうちに、
脳が温まって、
続けたくなってくる。
僕らは、順番を
間違えて待っていたのだ。
やる気が出たから、
動くのではない。
動いたから、やる気が出る。
最小行動設計とは、
やる気がゼロの日でも
始められる大きさまで、
行動を削ることである。
■目標ではなく、開始条件を決める
「毎日一時間、勉強する」
これは、重い。
やる気のない日には、
持ち上がらない。
だから、削る。
「教科書を、開く」
ここまで削る。
削るときのコツは、
成果ではなく、
開始の動作を決めることだ。
本を読む、ではなく、
本を開く。
運動する、ではなく、
靴を履く。
書く、ではなく、
ファイルを開く。
開くだけなら、
やる気は要らない。
そして開いてしまえば、
ペダルは、
もう回り始めている。
■ゼロと一の間に、崖がある
数字の上では、
一時間と五分の差は大きい。
でも行動の世界では、
崖は別の場所にある。
ゼロと一の間だ。
やらなかった日と、
一分でもやった日。
この二つは、
別の一日である。
一分やった日は、
「やっている人」の一日だ。
翌日、続きから始められる。
ゼロの日は、
翌日また、
あの重い漕ぎ出しに戻る。
一から十は、坂道だが、
ゼロから一は、崖なのだ。
だから作戦は、ひとつ。
崖だけは、毎日越えておく。
坂は、登れる日に
登ればいい。
■小ささが、自分を守る
最小行動には、
もう一つ働きがある。
大きな目標ばかり立てて、
達成できない日が続くと、
脳は静かに学習する。
自分は、続かない人間だ。
決めても、どうせやらない。
この学習が、
次の挑戦の足を重くする。
腕立て一回。
一行読む。
一個だけ捨てる。
ばかばかしいほど
小さくても、
果たされた約束は、
約束である。
自分との約束が
守られる日が続くと、
脳は逆のことを
学び始める。
自分は、決めたことを
やる人間だ。
その感覚が、
次の日の漕ぎ出しを
軽くする。
■今日のひと漕ぎ
止まっている自転車が
重いのは、
脚のせいではない。
止まっているものは重く、
動いているものは軽い。
ただ、それだけのことだ。
今夜、重く見えている
仕事があるなら、
持ち上がる大きさまで
削ってみてほしい。
ファイルを開くだけ。
靴を履くだけ。
一漕ぎで終わった日も、
あなたは止まらなかった。
その一漕ぎが、
明日のペダルを
少し軽くしている。
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