感情OS 第16章|小さな成功体験

これだけ覚えよう

  • 自信は、「自分ならできる」と思えるだけの経験がたまることで育っていく。
  • 大きな成功だけを待たなくても、「一ページ読んだ」「一通返した」のような小さな「できた」も経験になる。
  • できなかったことばかり数えると、実際には進んでいても、自分には何もできていないように見える。
  • 小さな成功は忘れやすいので、「今日できたこと」を書き残しておく方法もある。
  • 自信が足りないなら、自分を励ますだけでなく、「できた」という証拠を少しずつ増やしていく。

子どもの頃、
五百円玉を
貯金箱に落とした。

チャリン、と鳴って、
それきり見えなくなる。

一枚では、
何も買えない。

それでも、
たまに持ち上げると、
確かに重くなっていた。

自信がない。

よく聞く言葉だ。

そして多くの人が、
自信を性格だと思っている。

あの人は、自信家。

自分は、そういうタイプではない。

でも、考えてみてほしい。

九九を言えるかどうかに、
不安はないはずだ。

それは、性格だろうか。

違う。

何百回も唱えて、
何百回も言えた、
という記録があるからだ。

自信の正体は、証拠である。

「できた」という証拠の束だ。

自信がない、の本当の意味は、
性格が弱い、ではない。

証拠が、
まだ貯まっていない、
ということにすぎない。

そして証拠は、
今日から貯められる。

どんなに小さくても。

小さな成功体験とは、
自信を、才能からではなく、
記録から作ることである。

■脳は、金額を問わない

いい知らせがある。

何かをやり遂げたとき、
脳は小さなご褒美の
信号を出す。

大きな達成だけの
特典ではない。

机の上を片付けた。

一ページ読んだ。

一通、返信した。

「こんなの、成功のうちに
入らない」と
思うかもしれない。

でも、脳の通帳には
「できた」が一件、
記帳されている。

その残高が、
自信と呼ばれるものだ。

大きな一件の入金を
何年も待つより、
小さな入金を
毎日続ける方が、
残高は確実に増える。

■減点で数える夜

残高が増えないのは、
入金がないからとは
限らない。

数え方の問題であることも、
多い。

今日は、十できた。

でも、百できなかった。

そう数えた瞬間、
十の入金は
帳簿から消える。

前に進んでいるのに、
残高がマイナスに見える。

入金を記帳しないまま、
足りない額だけを
毎晩確認しているのだ。

それでは、
どれだけ働いても
貯まった気がしない。

■硬貨は、小さくていい

「そんな小さな目標で、
意味があるのか」

という声が、
聞こえてきそうだ。

逆に、聞いてみたい。

大きな入金を夢見て、
三年、通帳が白いままなのと、

小さな入金が、
三年、毎日続くのと、

どちらが遠くへ
行けるだろう。

目標を小さくするのは、
逃げではない。

今日の手で落とせる
大きさの硬貨を、
選んでいるだけだ。

■記録は、消えないうちに

最後に、ひと手間。

できたことは、書き残す。

人の記憶は意地悪で、
できなかったことは
夜中に再生するくせに、
できたことは
その日のうちに忘れる。

だから、外に保存する。

手帳の隅に、一行でいい。

今日、できたこと。

落ち込んだ夜に
読み返すためのページを、
元気な日に作っておく。

それが、
引き出しのきく
証拠の束になる。

■貯金箱は、見えない

五百円玉は、
落とした瞬間に
見えなくなる。

自信の入金も、同じだ。

貯まっていく様子は、
外からも、
自分からも、見えにくい。

見えないから、
貯まっていないと
思ってしまう。

だから、たまに
持ち上げてみる。

手帳の一行を、読み返す。

先月の自分が
できなかったことを、
今の自分がやっている。

その重さが、
確かに手に残る。

今日のぶんを、
一枚、落としておく。


おすすめの記事