理解OS 第19章|イメージ化

これだけ覚えよう

  • 分かったつもりのことを、頭の中で映像にして動かしてみる。
  • たとえば「ハガキを出す→相手に届く」を、ポストに入れてから届くまで順番に思い浮かべてみる。
  • 途中で映像が止まったら、そこはまだよく分かっていない場所かもしれない。
  • 見えないところを、想像で勝手に埋めなくていい。「ここから分からない」と分かることにも意味がある。
  • 言葉では分かった気がするときほど、「頭の中で実際に動かせる?」と確かめてみる。

見えなくなるところ

机の上に、ハガキが一枚ある。

宛名を書いて、切手を貼って、ポストへ入れる。三日後、相手の家に届く。

ここまでを、いま、頭の中で見てください。

ポストの口。手を離す。落ちる音。

そこまでは、たぶん色までついている。赤い箱、口の金具、内側の暗さ。

その次。

回収に来る人がいる。何時ごろでしょう。車ですか、バイクですか。何に入れて運びますか。

一つずつ聞かれると、映像が急に薄くなる。

局に着く。そこで何が起きていますか。

たぶん、たくさんの人が忙しくしている、という程度で止まる。何人ですか。台は何台ありますか。あなたのハガキは、どちらの向きで置かれていますか。

見えない。

目を開けて、いま見えていたものを思い返してみてください。

ポストの赤。運ぶ人は、輪郭だけで顔がない。局の中には、色そのものがなかった。

一続きに見えていた映像は、数か所しか塗られていなかった、ということになります。

見えないことは、失敗ではありません。

いま起きたのは、知らない場所が、はじめて形を持ったということです。「郵便のことは、だいたい分かっている」という言い方には、さっきまで、どこにも切れ目がなかった。

説明を聞いて分かった気になるとき、頭の中には、言葉だけが残っていることがある。言葉は、どこも欠けていない顔をしている。動かしてみると、必ずどこかで止まる。

止まった場所が、まだ理解していない場所です。

説明の中の数字でも、同じことが起きます。

三日後、と書きました。では、そのハガキは三日のあいだ、どこにいるのでしょう。三日を、三つの夜として見ようとすると、たいてい二つ目の夜で止まる。数字は一文字で書けるので、欠けているところが見えない。

もう一度、別のところで試してみてください。

三日後の朝。相手の家のポスト。

誰が取りに出ますか。何時ですか。手はどちらから入れますか。

こちらは、さっきより見えるかもしれない。

見える場所と見えない場所は、知識の量の順には並んでいない。よく知っているつもりの流れの途中に、まだらに、黒いところがある。

黒い場所は、たいてい、自分がそこへ行ったことがないところです。行ったことのある場所は、聞かれる前から色がついている。

薄くなった映像を、無理に濃くしなくていい。濃くすると、たいてい、どこかで見た絵を借りてきてしまう。借りた絵は動かない。動かないものは、次にどこで止まるかも教えてくれない。

ハガキに戻ります。

切手を貼る。指の腹で、角のほうから押さえる。

ここは、はっきり見える。


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