冷たいコップの外側がぬれるのはなぜ? 水の出どころを追いかける実験

氷の入ったコップを机に置くと、しばらくして外側に小さな水滴がつきます。やがて水滴は大きくなり、テーブルの上に輪を作ることもあります。コップの中に水が入っているのだから、その水が外へ染み出してきたようにも見えますね。

でも、割れていない普通のガラスのコップでも、水滴はできます。外側の水滴の主な出どころは、周囲の空気に含まれていた水蒸気です。気体の水が冷たい表面に触れ、液体の小さな粒になる現象を「凝結」といいます。

この説明をただ覚えるのではなく、「水はどこから来たのか」を確かめる方法を考えてみましょう。

まず三つの予想を立てる

コップの外側をぬらしている水には、少なくとも三つの候補があります。①コップの中から漏れた、②机や手についた水が移った、③周囲の空気から来た、です。

このうちどれが正しいかを確かめるには、違いが現れそうな条件を作ります。例えばコップを空にして外側をよく拭き、机の上に置いてみます。冷えていなければ水滴がほとんど増えないことがあります。一方、よく冷えた水を入れた密閉容器の外側に水滴がつけば、容器の中の液体が漏れたという説明は成り立ちにくくなります。

ただし実際に試すなら、ふたがしっかり閉まる容器を使い、外側に最初から水がついていないか確かめてください。容器の材質や密閉状態によっては、完全な比較にならないこともあります。観察結果だけで原因を確定したつもりにならず、別の条件でも確かめるのが実験です。

空気は目に見えなくても、水を含んでいる

湯気のように白く見えるものだけが水蒸気ではありません。気体としての水蒸気そのものは目に見えません。ふだん私たちの周りにある空気にも水蒸気が含まれています。

空気の温度が下がると、その空気が水蒸気を気体のまま保てる限界が変わります。ある条件では、温度が下がり、相対湿度が100%になると水蒸気が凝結し始めます。このときの温度を「露点温度」と呼びます。気象庁は露点温度を、水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき相対湿度が100%となり、露を結ぶ温度として説明しています。

冷たいコップの表面付近では、空気が冷やされます。表面の温度などの条件がそろうと、空気中の水蒸気が液体の水滴となり、コップにつきます。コップから水が外へ移動したのではなく、周りにあった見えない水が、見える形に変わったわけです。

ただし、水滴がつくかどうかや、どのくらいつくかは、室内の湿度、コップの表面温度、風の流れなどにも左右されます。冷たい飲み物を置けば必ず同じ速さでびしょびしょになるわけではありません。

水滴ができる場所を比較すると、もっと分かる

同じ部屋で二つの乾いたコップを並べます。一方に冷たい水、もう一方に室温に近い水を入れるとしましょう。外側を同じように拭き、数分後の表面を観察します。

冷たい方にだけ水滴が多くつけば、「中に液体があるから外がぬれる」という説明だけでは不足していると気づけます。両方に水は入っているのに、表面温度という条件で結果が違ったからです。

次は、冷たいコップを湿度の違う場所へ持っていったときの違いを考えます。ただし、本当に湿度だけを比較したいなら、表面温度や風などの条件をなるべくそろえる必要があります。家では完全に統制するのが難しいので、「観察した範囲でこうだった」と記録するのが安全です。

写真を撮る場合も、置いてから何分たったか、コップの種類、室温、冷たい水の状態などを書いておくと、後で比べやすくなります。水滴が大きくなったという結果と、その理由の説明は分けておきます。

冬の窓と風呂上がりの鏡も同じ?

冬の窓ガラスに水滴ができたり、浴室の鏡が曇ったりすることがあります。空気中の水蒸気が冷たい表面で凝結するという点では、コップの外側と似ています。

ただし、窓の場合は室内側なのか室外側なのかによって、水蒸気が来た場所を区別しなければなりません。また、浴室ではシャワーで水が直接かかったり、飛び散った水が付着したりすることもあります。見た目が同じ水滴でも、原因まで同じとは限りません。

この「似ているけれど条件は同じか」という問いを置くと、理科の知識をほかの場面に応用しやすくなります。

家でできる小さな記録実験

透明なコップを二つ用意し、片方に冷たい水、もう片方に室温に近い水を入れて、外側を拭きます。コップの下にはそれぞれ紙を置き、水滴が出るまでの時間や、紙に輪ができるかを観察してください。冷たい容器で手を冷やしすぎないようにし、電気製品の近くでは行わないでください。

結果のメモは「冷たいコップは3分後に水滴が見えた」のように、見えたことだけで十分です。「空気から来た」はその観察を説明する仮説です。湿度計があれば、その時の湿度も記録できますが、ない場合に数値を想像して書く必要はありません。

知識として「結露」と言えることと、目の前の水滴の原因を見分けられることは、少し違います。見えない水蒸気を直接つかまえることはできなくても、条件を変えて結果を比べれば、見えないものの働きを考えられます。

安全上、熱湯や割れたガラスを用いて急な温度変化を起こす必要はありません。冷水と室温の水だけで試せます。

参考資料

  • 気象庁「気温、湿度(気象用語)」 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html

関連するOS・記憶学

曇った眼鏡につく水はどこから来たのか、仮説を置いて観察すると仕組みを確かめられます。この見方を別の場面にも広げたいときは、思考OS 第3章「仮説と検証」を読んでみてください。

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