理解OS 第15章|因果関係

これだけ覚えよう

  • 「AのあとにBが起きた」だけでは、「AがBの原因」とはまだ言えない。
  • 「なぜ?」と思ったら、最初に浮かんだ理由だけで終わらず、「その一つ前は?」と何回か戻ってみる。
  • 原因は一つとは限らない。いくつかの理由が重なっていることもある。
  • AがBを起こしたように見えても、逆だったり、別のCがAとBの両方を起こしていたりすることもある。
  • 「原因が分かった」と早く決めすぎず、ほかの道がないか確かめる。

一つ手前

朝、鉢の下に、葉が三枚落ちている。

なぜ、と思う。そして、たいていの場合、その問いは最初に浮かんだもので閉じる。

水をやらなかったから。

ありそうなことではある。ただ、ここで閉じると、次に置ける言葉が「気をつける」しかなくなる。

一つ手前へ行ってみる。

水をやらなかったのは、土が乾いていることに気づかなかったから。

その一つ手前。気づかなかったのは、鉢が、目に入らない位置にあるから。

その一つ手前。位置が変わったのは、冬に机を窓際へ動かしたとき。

四つ戻ると、最初の「水」からずいぶん遠いところにいる。ここまで来ると、葉と机が同じ話の中にいる。

ただし、一つ手前は、いつも一本ではない。

気づかなかった理由は、位置だけではない。今年は雨の日が続いていて、外に置いてある鉢と同じ感覚のままだった。それも、一つ手前に並んでいる。

手前は、進むたびに枝分かれする。全部はたどれないから、どれをたどるかを選ぶことになる。選んでいることを忘れると、一本の道を見つけたように見えてくる。

途中で、一度、向きを疑う。

鉢が目に入らない場所にあるから、水をやる回数が減ったのか。水をやらなくなって、見て楽しいものではなくなったから、目が行かなくなったのか。

出てくる二つは同じでも、矢印の向きが逆なら、次に見る場所が変わる。前者なら置き場所を見て、後者なら自分の目のほうを見ることになる。

向きは、二つを並べただけでは決まらない。決めたければ、片方だけが動く場面を探すことになる。両方がいつも一緒に動いているあいだは、どちらが先かを言う材料がない。

もう一つ、疑う場所がある。

机を動かしたとき、変わったのは一つではなかった。鉢が目に入らなくなったことと、窓からの光の当たり方。二つが同時に変わっている。

すると、水やりが減ったことと、葉が落ちたことは、互いの原因ではないかもしれない。同じ一つの出来事から、並んで出てきた二本の線かもしれない。

こういうとき、人はたいてい、目立つほうを原因にする。水やりは自分の行いなので、責める先がある。光は静かで、責められない。

原因が一つに決まると、気持ちが落ち着く。落ち着いた時点で、探すのが終わる。終わったことは、当たったことの証拠にはならない。

続いたから、というのも弱い。

葉が落ちはじめたのは、机を動かした翌週だった。翌週だから、というだけでは足りない。同じ週に、暖房も入れはじめている。並んで起きた二つのうち、後ろのものが結果に見えるというのは、こちらの目の癖であって、順番そのものが理由を持っているわけではない。

葉のほうへ戻ってみる。

三枚のうち、二枚は下のほうの古い葉で、一枚は上の若い葉だった。同じ「落ちた」でも、同じ理由で落ちたとは限らない。結果のほうを一つにまとめてしまうと、原因も一つになりやすい。

では、どこまで戻れば十分なのか。

決まった数はない。ただ、戻るのをやめる場所を、自分が選んでいることは覚えておく。

多くの場合、人は二か所で止まる。

一つは、自分の手が届く場所まで来たとき。もう一つは、責める相手が見つかったとき。二つ目で止まると、そこから先はもう探されない。名前が一つ出てきた時点で、話が終わったように見えるからだ。

葉を三枚、拾う。乾いていて、思っていたより軽い。

答えは出ていない。矢印の向きも、まだ決めていない。

ただ、次に見るのは、水やりの回数ではなく、机を動かした日のほうだ。


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