
学校へ行くまでの時間、提出物が終わるまでの時間、駅で乗り換える時間。いつもの平均時間ぴったりに予定を組んでいると、ときどき大きく遅れてしまいます。では、余裕を何分足すのが正解なのでしょうか。答えは一律ではありません。遅れたときの困り方と、時間のばらつきを分けて考えると決めやすくなります。
平均30分でも、30分で着けるとは限りません
架空の通学記録を考えてみます。五日間にかかった時間は24分、25分、26分、27分、48分でした。合計は150分、平均は30分です。しかし五日中四日は30分より短く、残る一日は18分も長くかかりました。平均に合わせて30分前に家を出すと、この例では一日は遅刻します。
だからといって、毎回48分かけて出発する必要があるとも限りません。重要な試験当日と、多少遅れても支障のない買い物では、同じ遅れでも影響が違うからです。平均時間は状況を知る一つの指標ですが、そのまま出発時刻にはなりません。
「余裕5分」では防げない遅れがある
同じ五日間の記録で、出発から到着までに35分確保したとします。通常の四日は余裕が生まれますが、48分かかった日は13分足りません。40分確保しても8分不足します。五つの記録しかない段階で「次も必ずこの範囲に収まる」とは言えないものの、少なくとも5分の余裕では十分でない場合が見えます。
次に、遅延を二種類に分けましょう。信号で数分止まるような小さな変動と、運休・大雨・事故などの大きな例外です。小さな変動には予備時間を足す方法が役立ちます。大きな例外に対しては、別経路を調べておく、重要な日はさらに早く出る、といった別の備えが必要です。
予備時間を決めるのは「遅刻の確率」だけではありません
例えば、到着が10分遅れると予定が失われる約束と、10分ずれても誰も困らない自分の散歩では、必要な余裕は同じでしょうか。前者では遅れを避ける価値が大きく、後者では早く出る時間の負担が相対的に大きくなります。
数式にすると、予備時間の候補ごとに「早く着いて待つ時間」と「遅れて困る可能性」を比較します。ただし、困り方を無理に円に換算する必要はありません。提出期限を過ぎる、授業の冒頭を聞き逃す、相手を待たせるなど、何が起こるかを具体的に書き出すだけでも十分役立ちます。
作業の予定では「全部を足す」と間違うことがある
三つの作業がそれぞれ30分、20分、10分で終わると見込んだなら、順番に進めると合計60分です。しかし途中で他人の返事を待つ工程があると、作業時間の合計だけでは完了時刻を予測できません。待ち時間が重なるか、作業と並行できるかによっても結果は変わります。
仕事の予備時間は、毎工程に一律5分ずつ加えるだけでなく、「後の工程を止める場所」に重点を置く方法があります。たとえば資料が届かないと始められない工程なら、その連絡を先に済ませておくことが、単なる予備時間の追加より有効かもしれません。
自分の予定で試す方法
同じ行動を最低でも何回か記録し、普通の日と特別な日を混ぜて平均を取らないようにします。出発時刻、所要時間、遅れの原因を記録し、まずは実測の最大値・最小値・典型的な値を見ます。そして、予定を守れなかった場合に何が起こるかに応じて、余裕の候補をいくつか決めます。
小さな記録だけから「必ず間に合う時間」は決められません。それでも、毎回なんとなく5分足すより、少なくとも自分の行動のばらつきに合わせた判断になります。次の一週間は「確保した時間」と「実際に使った時間」の差を一緒に残してみてください。
最長記録をそのまま採用する方法にも弱点があります
五日間の所要時間が24、25、26、27、48分だった例で、毎回48分確保すれば少なくともこの五日は間に合います。ただし、48分かかった原因が一度きりの特別な出来事なら、普段は20分以上の待ち時間が生まれます。反対に、過去の最長記録が48分でも、次の週に60分かかる可能性をなくすことはできません。
「最大値を採用するか」「何分までの遅れを許せるか」は、統計だけでなく目的で決まります。重要な約束の日は安全側へ寄せ、普段の用事なら待ち時間を減らすよう調整する、と決めることもできます。記録から自動的に唯一の正解が出るわけではありません。
予定を短縮する前に、どこに時間が消えたかを見る
家を出てから30分かかったとしても、歩いた時間が18分、信号待ちが4分、忘れ物で戻った時間が8分なら、改善する場所は三つに分かれます。歩く速さを上げるより、前日に持ち物を確認する方が安全で確実かもしれません。原因別に記録すれば、毎日早く出るしかないという思い込みから離れられます。
作業でも同じです。予定より遅れた時間を、「作業そのもの」「資料待ち」「やり直し」に分けます。最初に手を付けるべきなのは最長の部分とは限りません。少しの工夫で減らせる時間、そもそも自分では変えられない時間を分けて、予備時間と改善策を組み合わせます。
「余裕がある日」だけで計画を作らない
休日に宿題を1時間で終えられたので、平日も1時間で終わると考えたとします。しかし平日は授業や部活動のあとで疲れているかもしれません。同じ課題でも、取り組む時間帯と状態が違えば、かかる時間が変わります。休日と平日を混ぜて平均を取る前に、条件が同じか確認します。
また、予定に余裕を足す際、「時間を長めに見積もる」のと「早めに着手する」のは別の方法です。後者なら途中で想定外の問題が見つかっても、対策を調べる時間が残せます。締め切りに向かう作業では、余裕を最後に一か所だけ置くより、問題を発見できる時点を早める方が有効なこともあります。
計画に必要なのは、平均値より幅です
予備時間は「怠けるための空白」ではなく、予測が外れる余地に名前をつけたものです。平均で30分、実際には24〜48分だったという二つの情報を同時に持っていれば、重要な予定ほど早く動く理由を自分で説明できるようになります。

