塩分1%のスープはどう作る? 食塩の量と全体の重さから濃度を考える

レシピに「塩分1%のスープを作る」と書かれていたら、塩をどれだけ入れればよいでしょうか。「水500gだから塩を5g足せばよい」と考える人もいるかもしれません。ところが、この方法では正確には1%になりません。

濃度の計算で最初に確認したいのは、何を分子にし、何を分母にするかです。食塩の重さを、水だけでなく、食塩を含めた「溶液全体の重さ」で割ると、数字の意味がはっきりします。

1%は『100gのうち1g』という意味

ここでは、食塩だけが溶けている水を考え、質量パーセント濃度を使います。式は次のとおりです。

食塩の濃度(%)=食塩の質量÷食塩水全体の質量×100

食塩水全体が100gで食塩が1gなら、1÷100×100=1%です。では全体が500gならどうでしょうか。

500×0.01=5gなので、食塩は5g必要です。食塩水の全体を500gにするためには、食塩5gと水495gを用意します。

食塩5g+水495g=食塩水500g

これで5÷500×100=1%です。最初に「完成後の全体量は500g」と決めるのが分かりやすい方法です。

水500gに塩5gを足すと、なぜ1%ではない?

今度は水を先に500g用意して、その上から塩5gを入れます。食塩水の全体は505gになります。

濃度は5÷505×100=約0.9901%です。1%にとても近いですが、厳密には同じではありません。

日常の料理でこの差を気にするかどうかは目的によります。それでも、学校の理科や算数で濃度を計算するときには大切な違いです。「水の重さ」と「完成した食塩水の重さ」を混同しないようにしましょう。

なお、実際のスープには食塩以外にも、だしや野菜、調味料に含まれる成分があります。ここでの例は純粋な食塩と水だけに限定したモデルです。食品表示で使われる「食塩相当量」などとは、前提や求め方が違う場合があります。

濃い食塩水から薄い食塩水を作る

食塩水を薄めるときも、式は同じです。たとえば濃度10%の食塩水50gには、食塩が50×0.10=5g含まれています。

これに水450gを加えたら、完成する食塩水の重さは500gです。食塩自体の重さは変わらないので、濃度は5÷500×100=1%になります。

材料 食塩の重さ 全体の重さ
10%食塩水50g 5g 50g
加える水 0g 450g
完成した食塩水 5g 500g

この計算の本質は、水を足しても食塩の量は変わらず、全体の量だけが増えるということです。水を加えるたびに濃度の数字は下がりますが、食塩が消えるわけではありません。

2%の食塩水300gを1%にするには?

今度は濃度2%、全体300gの食塩水があります。ここには300×0.02=6gの食塩が含まれています。

これを1%にしたいなら、6gが全体の1%になる必要があります。全体の重さをXgとすると、6÷X=0.01です。したがってX=600g。

もとの300gから600gにするには、水を300g加えます。最終的に6÷600×100=1%になります。

この問題のように食塩の量を変えずに濃度を半分にするには、食塩水全体の質量を2倍にします。ただし、いつでも同じ計算になるとは限りません。食塩水に別の濃度の液を混ぜたり、途中で水分が蒸発したりすれば、条件は変わります。基本の式から考えた方が応用できます。

食塩水を二つ混ぜたときはどう考える?

たとえば、1%の食塩水200gと3%の食塩水100gを混ぜるとします。

食塩は前者に2g、後者に3g。合計5gです。食塩水の全体は300gになるので、濃度は5÷300×100=約1.67%です。

1%と3%の単純な平均は2%ですが、今回は違います。二つの液の量が同じではないからです。濃度の平均を取るのではなく、まず食塩の重さを合計するのが安全な順番です。

もしどちらも200gずつだったなら、食塩は2g+6g=8g、全体400gなので2%になります。材料の量が同じなら、濃度の単純平均とも一致します。

この違いは、テストの平均点を考える場面にも似ています。人数の違うクラスの平均をまとめるなら、まず全員の合計点と人数をそろえて計算する必要があります。

家庭で試すなら、まず水と塩の重さを量る

キッチンスケールを使って、食塩5gと水495gを量り、食塩が十分に溶けるまで混ぜます。全体の重さを確かめて、計算どおりか見てみましょう。

ただし、家庭用の秤には表示の丸めや測定誤差があります。水分が容器に残ったり蒸発したりすることもあるため、実験での測定値は理論値と完全には一致しない場合があります。塩をなめ比べて正確な濃度を判定しようとする必要もありません。

料理で役立つのは、数値を一つ覚えることより、作る量を変えたときに「食塩の重さ」と「全体の重さ」の両方を変えられることです。

蒸発しても食塩は消えない

濃度を変えるのは、水を足すときだけではありません。鍋でスープを煮詰めると、水分が蒸発して、食塩の割合が高くなる場合があります。

食塩5gを含む500gの食塩水を考えましょう。水分が100gだけ減り、食塩が残ったと仮定すると、食塩水の全体は400gです。濃度は5÷400×100=1.25%になります。

「塩を入れた量は同じなのに、濃くなった」と説明できます。逆に水を100g足して全体を600gにしたら、5÷600×100=約0.83%です。増減したのが食塩なのか、水なのかで、濃度が変わる方向を考えられます。

現実のスープでは食材から水分や調味成分が出ることもあります。数字の実験は、まず条件を単純化して基本の関係をつかむために使いましょう。

まとめ|分母は完成した全体の重さ

塩分1%を計算するなら、食塩が完成した食塩水全体の何%を占めるかで考えます。500gの1%なら食塩5gと水495gです。

濃度が難しく感じたら、①食塩は何gか、②完成した全体は何gか、③足したのは水か食塩かを分けてみてください。割合の式が、レシピや理科の実験でそのまま使える道具になります。

参考資料

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