理解OS 第9章|パターン認識

これだけ覚えよう

  • 似たことが何度も起きたら、「何か同じ形がないかな?」と探してみる。
  • plays・likes・goes →「あ、同じような変わり方をしている」→ 共通するルールを探す。
  • 数学でも、初めて見る問題の中に「前にやったあの形と同じだ」と気づけると解きやすくなる。
  • 経験が増えると、「前にもあった形」に気づきやすくなる。
  • ただし、似て見えたからといって本当に同じとは限らない。最後に「今回は違わない?」も確認する。

三つ目の足跡

雪の上に、足跡が一つある。

何かが通った。それだけしか分からない。

少し先に、もう一つ。

偶然かもしれない。

三つ目、四つ目と続いたとき、向きが見え始める。

ばらばらに見える出来事の中から、繰り返し現れる形を見つけること。それが、パターン認識である。

英語を習い始めた頃、plays、likes、goes という変化は、どれも別々の面倒に見える。

けれど「主語が三人称単数のとき」という繰り返しに気づいた瞬間、ばらばらだった暗記が、一つの形に収まる。

数学も同じだ。問題文はどれも違って見える。

「これは二次関数だ」と分かった瞬間、初めて見た問題の中に、見覚えのある形が現れる。

同じ景色を見ていても、見えている形の数は人によって違う。

サッカーの初心者は、ボールを目で追う。

経験者は、ボールのないところを見ている。

選手の間隔。空いている場所。相手の重心の向き。

ボールは一つしかないが、形はいくつもある。経験とは、たぶん、見える形の数のことだ。

人間関係にも、繰り返しはある。

いつも同じことで怒る人。いつも似た相手を好きになる人。いつも同じ場面で失敗する人。

一つひとつは偶然に見える。

けれど、何度か続いたとき、そこに向きが現れる。

ただし、繰り返しを見つける目には、危ないところがある。

見つけた形のほうが、目の前のものより先に見えてしまうのだ。

「こういう人は信用できない」

一度そう思うと、目の前にいる人ではなく、頭の中のラベルを見るようになる。

人は、繰り返しを見つけることで世界を理解する。同時に、繰り返しによって、世界を見なくなることもある。

子どもの絵を見てほしい。

遠近法もない。形も崩れている。

それでも時々、大人には描けない絵がある。

大人は、花を描こうとすると「花の形」を描く。

子どもは、いま見えているものを描く。

足跡は、まだ足跡である。

一つでは、何かが通った。

二つでは、偶然かもしれない。

三つ目で、向きが見える。

そこまで見えたら、いったん顔を上げて、目の前の雪を見る。


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