
これだけ覚えよう
- 自分を我慢させるだけでなく、やりやすい・やりにくい環境を作る。
- ギターを弾きたいなら出しておく。スマホを触りすぎるなら、少し遠い場所へ置く。
- やりたいことは始めるまでの手間を減らし、やめたいことは手間を少し増やす。
- 場所に役割を持たせて、「ここでは勉強」「ここでは休む」と分ける方法もある。
- 行動を変えたいなら、気持ちだけでなく、周りの置き方や使い方も変えてみる。
お菓子を、やめたい。
その人の机の上に、
お菓子の袋が置いてある。
この勝負は、
もう終わっている。
夕方、すり減った意志が
手を伸ばして、おしまいだ。
でも、想像してほしい。
同じお菓子が、
戸棚の奥の、
箱の中の、
輪ゴムで縛った袋の中に
あったなら。
……たぶん、
面倒になって食べない。
食べたい気持ちは、
同じなのに。
変わったのは、
心ではなく、地形である。
川の水は、
低い方へ、
流れやすい方へ流れる。
流れを変えたい人は、
水を説得したりしない。
地形の方を、変える。
環境設計とは、
意志と戦わずに、
地形を変えることである。
■水の恥では、ない
人は、自分で思うより
ずっと、環境に従っている。
視界に入ったものを、触る。
近くにあるものを、食べる。
楽な方を、選ぶ。
がっかりする話では、ない。
水が低きに流れるのは、
水の恥ではない。
それに、
環境に従うということは、
環境を作った人に
従うということだ。
だったら、その席に
自分が座ればいい。
■二十秒の、坂を作る
地形工事のコツは、
手間の量にある。
やりたい行動は、
始めるまでの手間を、
二十秒だけ減らす。
やめたい行動は、
始めるまでの手間を、
二十秒だけ増やす。
そのわずかな坂で、
流れは変わってくる。
ギターを弾きたいなら、
ケースから出して、
部屋の真ん中に
立てておく。
スマホを減らしたいなら、
充電器を
別の部屋に移す。
取りに行く二十秒が、
「まあ、いいか」を
生んでくれる。
意志が強く見える人は、
たいてい、
坂の作り方が
うまい人である。
■場所に、仕事を割り当てる
もうひとつの工事は、
場所の役割分担だ。
この机では、
勉強しかしない。
このソファでは、
休むだけ。
寝床には、
スマホを持ち込まない。
場所と行動を
一対一で結んでおくと、
脳は場所を見ただけで、
切り替えを始める。
逆に、同じ場所で
何もかもやっていると、
机に着くたび、
遊びと仕事が
席の取り合いを始める。
広い家は、要らない。
机の右半分と左半分でも、
役割は分けられる。
■朝のうちに、水路を
明日の夕方も、
あなたの意志は
すり減っている。
それでいい。
夕方の自分を
責めるのではなく、
朝の自分が、
地形を整えておく。
お菓子は、戸棚の奥へ。
ギターは、部屋の真ん中へ。
充電器は、隣の部屋へ。
水路さえ掘ってあれば、
疲れた水も、
ちゃんと海へ着く。
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