
化学反応式の問題は、係数を勘で当てるより、左右にある元素ごとの原子数を在庫表のように数え、足りない側の係数を直すと安定します。このページは練習中心です。化学反応式そのものの詳しい意味は別の基礎解説に任せ、ここでは実際に係数を合わせる操作を繰り返します。
問題1:水素と酸素から水
空欄を埋めます。
まずOを見ると、左は2個、右は1個です。右の水を2個にします。
すると右のHは4個になったので、左の水素を2個にします。
Hは4対4、Oは2対2。答えは 2 : 1 : 2 です。
問題2:マグネシウムの酸化
Oをそろえるため、右のMgOを2にします。
右のMgが2になったので左も2。
Mgは2対2、Oも2対2です。
問題3:メタンの燃焼
生成物が二酸化炭素と水だと分かっているとします。
Cはすでに1対1です。Hは左4、右2なので、水を2にします。
右のOはCO₂に2個、水2分子に2個、合計4個です。左のO₂を2にします。
C=1、H=4、O=4で一致します。
問題4:アルミニウムと酸素
Oの数は左が2の倍数、右が3の倍数なので、最小公倍数6を作ると考えます。O₂を3、Al₂O₃を2にします。
右のAlは4個なので、左を4にします。
最小公倍数を使うと、2と3が混ざる式でも係数を見つけやすくなります。
問題5:下付き数字を変えてはいけない
次の誤答を見ます。
左右のHとOの数は合って見えますが、右辺の物質を水 H2O から別の化学式へ変えてしまっています。
係数合わせで変えてよいのは化学式の前の数です。下付き数字は物質の組成なので、反応物・生成物として指定された化学式を勝手に書き換えません。
問題6:係数に共通因数が残っていないか
原子数は合っています。しかし係数全体を2で割れます。
基本問題では最も簡単な整数比に整えます。「数が合った」で終わらず、最後に共通因数を確認します。
解く順序は「複雑な元素から」が便利なこともある
複数の元素がある式では、HやOを最初に合わせると後で崩れることがあります。化合物中に一度ずつ現れる元素や、構造の複雑な部分から先に合わせ、H・Oを後に回すと楽な場合があります。
ただし絶対ルールではありません。途中で係数を変更したら、最後に全元素を再カウントします。
自分用の在庫表を作る
メタン燃焼なら、途中で次のように書きます。
| 元素 | 左辺 | 右辺 |
|---|---|---|
| C | 1 | 1 |
| H | 4 | 4 |
| O | 4 | 4 |
式を見ただけで混乱するなら、表へ落とします。表は遠回りではなく、どの元素が未調整かを可視化する道具です。
練習7:自分で検算する
次を係数で整えてください。
Oの最小公倍数6を作るなら、O₂は3、Fe₂O₃は2。右のFeが4になるため左を4にします。
Feは4対4、Oは6対6です。
練習8:係数が1のときは書かなくてよい
係数は1:1:1です。通常、係数1は省略します。
空欄問題で「1を書かないと不正解か」は問題形式によるため、指示に従います。化学反応式そのものでは1を省略するのが一般的です。
係数が合っても生成物が違えば正解ではない
係数合わせは、反応物・生成物の化学式が正しいことを前提にしています。何が生成するか自体を問う問題では、先に反応の内容を判断する必要があります。
このページの「在庫表」は、生成物が分かった後の係数調整に強い方法です。反応の種類を知らないことと、係数を合わせられないことは別のつまずきとして分けます。
最後のチェックは四項目
- 物質の化学式を勝手に変えていないか。
- 左右で各元素の原子数が同じか。
- 係数は整数になっているか。
- 全係数を共通因数で割れないか。
別の反応式でも、この四項目を使って自分で答案を検算できます。正解を見る前に原子数を数え直す習慣を作ると、係数問題を「当てる問題」から「検証できる問題」に変えられます。
参考資料
- 文部科学省「中学校学習指導要領・解説」
- 文部科学省「高等学校学習指導要領・解説」



