
付録は、本文とちがって「読むもの」ではなく「使うもの」です。コピーして冷蔵庫に貼る、書き込む、スマホで撮っておく──好きなように使ってください。
付録1 自宅パレス作成シート
シートA 最初の家(10地点)
自宅の中を、玄関から一筆書きで回る順番に、10か所書き出してください。地点は「見た目がはっきり違うもの」を選びます(そっくりな椅子が4脚あっても、それは1地点です)。
記入例:番地1「玄関」/置いたもの「りんご」/事件「巨大りんごがドアを塞いで入れない」
| 番地 | 地点(場所・もの) | 置いたもの | 起きた事件(ひとことメモ) |
|---|---|---|---|
| 1 | |||
| 2 | |||
| 3 | |||
| 4 | |||
| 5 | |||
| 6 | |||
| 7 | |||
| 8 | |||
| 9 | |||
| 10 |
四つのルール(第5章)
よく知っている場所を使う(目を閉じて歩けること)
順番を固定する(一度決めたら変えない)
一つの地点に、一つだけ置く
映像は変であるほどいい(大きく・動かす・ぶつける・あふれさせる)
使い方
置いたら、目を閉じて1番地から歩きます。当日の夜と翌朝、「まだいる?」と会いに行ってください。出てこない地点があったら、子どものせいではなく、まず物件を疑ってください。事件を派手に作り直すか、地点を引っ越しさせましょう(リフォーム)。引っ越したら、新しい地点を道順に入れて、また固定します。それでも出てこないときは、置く前の入れ方が浅いのかもしれません。第2章に戻ってください。
シートB 街の地図(パレス10軒)
100個に向けて、家を増やすときに使います。1軒につき1ジャンルの「看板」を掛けてください(第7章)。ゲームのマップも立派な家です。
| 家 | 場所(パレス名) | 看板(教科・ジャンル) |
|---|---|---|
| 1軒目 | 例:自宅 | 英単語 |
| 2軒目 | 例:おばあちゃんの家 | 歴史 |
| 3軒目 | ||
| 4軒目 | ||
| 5軒目 | ||
| 6軒目 | ||
| 7軒目 | ||
| 8軒目 | ||
| 9軒目 | ||
| 10軒目 |
候補の例:自宅/祖父母の家/教室(自分の席から黒板まで)/通学路/コンビニの店内/公園/本屋までの道/習い事の教室/友だちの家/好きなゲームのマップ
付録2 親の声かけ変換表
言葉の向きを、「過去と結果」から「工程と道筋」へ。全部を一度に変えなくて大丈夫です。自分の口癖を一つだけ選んで、今週はそれだけ言い換えてみてください(第10章)。
困ったときの変換表
| 今までの言葉 | 新しい言葉 | 助けている工程 |
|---|---|---|
| 覚えた? | どんな絵にした? | 入れる |
| ちゃんと集中して | まず一個だけ、変な絵にしてみよう | 入れる |
| 覚えるまで書きなさい | この字、どこで引っかかった? | 入れる |
| ちゃんと復習しなさい | 昨日のあれ、会いに行こうか | 残す |
| 昨日やったのに | 道が細くなっただけ。もう一回歩こう | 残す |
| なんで忘れたの? | どこに置いたっけ? 入口まで戻ってみよう | 取り出す |
| さっきやったでしょ? | 全部じゃなくていいよ。絵だけ出てくる? | 取り出す |
| 思い出しなさい | 何か変なこと、起きてなかった? | 取り出す |
| 覚えてないの? | 惜しい、道の途中までは来てるね | 取り出す |
できたときの言葉(褒める場所を、結果から作り方へ)
その覚え方、面白いね
その絵は忘れにくそうだね
それ、自分で作ったの?
入口まで自分で戻れたね
途中まで自分で出せたね
待ち方
質問したら、心の中で十まで数えてください。沈黙は停止ではなく、工事中です。目安として10秒たったら、答えではなくヒント(場所・映像・最初の音)を一つだけ。
付録3 1か月カリキュラム表
目的はひとつだけ:「自分は覚えられる」という体験を、子どもの中に一個置くこと。できた個数で評価はしません(観察やメモに使うのはかまいません)。
三つのルール
一回5分(長くて10分)。物足りないところで切る
「ぜんぶ会えた」状態で終える(9個ならヒントを出して10個そろえる。最後の1個はヒントつきでOK)
崩れたら、責めずに、前の週に戻って再開する
| 週 | テーマ | やること | 親の役割 |
|---|---|---|---|
| 第1週 | 覚えられた、という事件を起こす | 初日:親が一人で買い物リスト10個を試す/2日目:子どもを「遊び」に誘い、得のないもの10個を置く/毎晩1分、「あの街まだある?」 | 台本係。勉強という言葉は封印。本気で驚く |
| 第2週 | 子どもの街を建てる | 子どもが自分で10地点を選ぶ/子どもが映像を作って10個置く/週の後半に物語型を1回(主人公とミッションを子どもが決める) | 質問係。「どんな事件?」「何色?」。雑でも採用する |
| 第3週 | 勉強と接続する | テスト範囲から10個だけ選んで街に置く(英単語はまず普通に置き、以前からの常連客〈第8章〉は最初から四段変換、新語は繰り返し弾かれたものだけ四段変換/漢字は急所に丸/歴史は「なぜ?」を一つ)/当日夜・翌日・3日後に会いに行く | 一緒に選ぶ。点数の夢は見ても口に出さない |
| 第4週 | 親がいなくなる練習 | 覚え物選び・映像・復習のタイミングを子どもに任せる/週末に「一番笑った映像どれだった?」の会 | 聞き役。「いつ会いに行く?」とだけ聞く |
毎日の習慣(第1週の2日目から、全期間)
寝る前の歯磨きのあとに1回、「今日のあれ、まだいる?」。1分で終わります。初日は親が一人で試す日なので、子どもに聞くのは2日目の夜からです。
崩れたときは
崩れる前の週に戻るだけです。三週間空いても、街は取り壊されていません。「あの街、まだある?」から再開してください。
付録4 ChatGPTに聞くための基本プロンプト10
【 】の中を、お子さんに合わせて書き換えて使ってください。
共通のコツ
学年と、子どもの好きなもの(キャラ・ゲーム・スポーツなど)を書き添えると、出てくる案がぐっと良くなりやすいです
AIの案は完成品ではなく、たたき台です。「もっと変なの作れるよね」と、子どもと張り合う材料にしてください
自分で作った映像のほうが強い、という原則(第2章)は、AIを使うときも変わりません
発音・字形・歴史や理科の事実は、最後に一度、教科書や音声つき教材で確かめてください。作っている途中は自由に、終わったら一度だけ答え合わせ──が本書のルールです(第9章)
1. つまずきの診断(第1章)
【小5】の子どもが【漢字を10回ずつ書いているのにテストで書けません】。この子は「入れる(記銘)・残す(保持)・取り出す(想起)」のどの工程でつまずいていそうか、可能性を挙げて、親が今日からできる小さな対策を教えてください。
2. 漢字・用語を「変な絵」にする(第2章)
【縦】という漢字を、【小4】が覚えやすいように、意味・映像・少し笑える短い物語つきで説明してください。案は3つ出して、子どもが選べるようにしてください。字形は正確に保ち、本当の成り立ちと覚えるための作り話を区別して、作り話には「覚えるための見立て」と分かるように示してください。
3. 復習スケジュールを作る(第3章)
子どもが今週【漢字20個と英単語15個】を覚えます。テストは【2週間後】です。1日10分以内でできる復習スケジュールを、「見直す」ではなく「思い出す」中心で作ってください。
4. 責められない想起クイズ(第4章)
子どもが今日【火成岩と堆積岩】を覚えました。責められている感じがしない、ゲームっぽい思い出しクイズを5問作ってください。最初の2問はヒント付きで簡単に、だんだん難しくしてください。
5. 10地点パレスの設計(第5章)
【小4】の子どもと、メモリーパレスを作ります。子どもがよく知っている場所(自宅・通学路・学校など)をもとに、10地点の候補リストを3パターン作ってください。順番に歩ける道順で、見た目がはっきり違う地点を選んでください。
6. 物語型メモリーパレスの台本(第6章)
【小4】の子どもと物語型メモリーパレスを作ります。覚えたいのは【open / run / king / fire / cry】です。主人公は【子どもの名前や好きなキャラ】、舞台は自宅です。玄関→廊下→リビング→キッチン→風呂の5場面で、各場面に1つずつ入れた短い冒険と、親が読み上げる台本を作ってください。少し笑える話にしてください。
7. 英単語の四段変換(第8章)
英単語【reluctant(気が進まない)】を覚えたい【小6】がいます。①発音に近い日本語の連想、②意味につながる変な事件、③自宅のどこに置くとよいか、を少し笑える形で3案ずつ出してください。日本語の音連想は発音そのものではないことを踏まえ、最後に正しい発音を確認する前提で案を出してください。
8. 歴史用語に因果の網を張る(第9章)
【小5】が【墾田永年私財法】を丸暗記しています。①なぜ作られたか、②誰が得をしたか、③その後の世の中がどう変わったか、を親子の会話形式で、小学生にわかる言葉で説明してください。最後に、子どもに聞く質問を3つつけてください。確認できる史実の範囲で説明し、解釈や推測が入る場合はそれと分かる形にして、因果を面白くするための創作はしないでください。
9. 公式の「再建の種」を作る(第9章)
【小5】が【台形の面積の公式】を丸暗記して、すぐ忘れます。この公式が「なぜそうなるのか」を、絵に描ける形で、小学生にわかるように説明してください。忘れても自分で公式を作り直せるようになるのがゴールです。
10. 親の声かけ変換(第10章)
私は子どもに【なんで忘れたの?】とよく言ってしまいます。この言葉を、子どもの記憶の工程(入れる・残す・取り出す)を助ける言葉に言い換えたいです。私の口調に合う自然な言い換えを5つと、それぞれどの工程を助ける言葉なのかを教えてください。

