感情OS 第9章|拒絶耐性

これだけ覚えよう

  • 何かを断られたとき、「自分そのものを拒絶された」と広げすぎない。
  • 「今は上のクラスへ移れない」と言われても、それは「あなたはダメ」という一生の判決ではない。
  • 「何を断られた?」「いつの話?」「誰の判断?」「理由は何?」と範囲を確かめる。
  • 範囲を分けても、断られた痛みまで消えるとは限らない。
  • 痛いままでも、まだやりたいなら続けられる。拒絶されたことと、その先へ進めないことは同じではない。

上のクラス

上のクラスへ移りたいと、先生に言った。

言うまでに、三週間かかった。

先生は、少し考えてから、いまはまだ、と言った。理由も一つ添えてくれた。

こちらは、はい、と答えた。

答えたあと、教室を出て、階段を降りて、外へ出て、そこでようやく、手に力が入っていないことに気づいた。

痛い。

三週間分の練習が、そのまま返ってきたように感じる。上手くないと言われたのではない。いまはまだ、と言われただけだ。それなのに、帰り道で頭にあるのは、上手くない、のほうだった。

断られたのは、何だったのか。

移りたいという申し出だ。

いつのことか。

今日のことだ。来年のことは、まだ何も言われていない。

誰にか。

あの先生に。あの先生の見方で、いまの段階について、そう言われた。

条件は。

添えられた理由は、一つだけだった。速い曲でつまずくところがある、というものだった。全部が足りない、とは言われていない。

書き出してみると、返ってきたのは一枚の返事で、判決ではなかった。

判決だと感じたのは、こちらが三週間、その一枚に全部を乗せていたからだ。

乗せていたものが重かったので、返ってきたときも重かった。

それでも、痛みは残る。

分けたから軽くなる、ということは起きない。分けて分かるのは、この痛みがどこまでの話か、それだけだ。

来週も、同じ教室へ行く。

行くと決めたのは、断られなかったからではない。断られたあとに、まだ行きたいと思ったからだ。

速い曲の、つまずくところだけ、今日から少し多めに弾いている。

次に頼むのがいつになるかは、まだ決めていない。


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