思考OS 第14章|メタ認知

これだけ覚えよう

  • 考えている内容だけでなく、「今、自分はどんな考え方をしている?」と見る。
  • 「同じ二つの案をずっと行ったり来たりしている」「最初の案ばかり守ろうとしている」と気づく。
  • これは「自分はダメだ」と採点することではない。今いる場所を確認するだけ。
  • 今いる場所が分かれば、「選択肢を増やそう」「いったん確かめよう」「今日は保留しよう」と次の方法を選べる。
  • メタ認知は、自分を眺め続けることではない。次にどの考え方を使うか決めるための現在地確認。

印のない地図

観光案内所の壁に、大きな地図が貼ってある。

道は全部描いてある。細い道も、階段も、名前のない路地も。凡例まで付いている。

見ているのに、一歩も決められない。

赤い印がないからだ。

この地図には、「現在地」が入っていない。どこへ行く道も描かれているのに、どこから出発するのかだけが空いている。

考え方も、たいてい、この形で持っている。

二つに閉じたら第三の返事を作る。思いついたら味見をする。決められないなら保留の時刻を置く。全部、どこかで読んで知っている。知っているのに、その日の机の前では、どれを使うのか分からない。

道が足りないのではない。印が足りない。

だから、内容から一歩だけ離れて、印を打つ。

いま、二つの案のあいだで往復している。三十分、同じ二つを行き来している。

いま、最初に出した案を守っている。反対の材料が出てくると、材料のほうを疑っている。

いま、急いでいる。急いでいる理由は、この件の重要さではなく、今日が金曜だからだ。

三つ書いた。三つとも、考えている中身ではなく、考え方についての観察である。

ここで気をつけることがある。

印を打つのは、自分を採点するためではない。「守っている」と書いた瞬間、「だからお前は頑固だ」という声が続きたがる。その声は、新しい裁判官が一人増えただけで、印ではない。裁判官は現在地を教えてくれない。判決を出すだけだ。

印は、短くていい。今どこ、それだけでいい。

そして、印を打ったら、そこで止めない。

二つを往復しているなら、選択肢がまだ二つしかないのかを見に行く。案を守っているなら、いったん一口だけ味見をする。金曜だから急いでいるなら、月曜の朝までの保留にして、戻る時刻を書く。

印を打つこと自体が仕事になると、地図の前から動かなくなる。眺めているあいだは、間違えることもない。

だから、印は道具を選ぶまでのものだ。

赤い丸が一つ入る。

地図は何も変わっていない。道は増えていない。

ただ、いま立っている場所から伸びている線が、三本だけ見える。


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