
通販で見た服が届いたら、写真より暗い色に見えた。レストランで注文した料理が、メニュー写真と少し違って見えた。こんなとき、見本写真が必ず偽物だったとは限りません。写真と目の前の物体では、光や背景、見る角度が違う場合があります。
一方で、写真に写すものを意図的に選び、都合の悪い部分を見せない場合もあります。自然な見え方の違いと、情報の選び方を分けて考えます。
色は物体だけで決まらない
赤い服を屋外の明るい場所と、黄色みの強い室内灯の下で見ると、同じ色に感じられないことがあります。物体が反射する光だけでなく、照明に含まれる色や、目やカメラの補正が関係します。
スマートフォンやパソコンの画面も、明るさや色の設定が異なります。撮影時に正確な色を記録できたとしても、別の画面で全員が同じ色を見るとは限りません。
だから、写真と実物が違って見えた理由を「写真を加工したから」と一つに決めつけるのは早すぎます。
同じ物を三つの条件で撮ってみる
机の上に、無地の色紙やペンケースなどを一つ置きます。同じ機器で、窓際の自然光、室内灯、背景に白い紙を置いた状態を比べて撮影してみてください。
撮影する場所や光の方向を変えると、影の付き方や色の印象が変わる場合があります。実験では、同じ画面で三枚を並べて比較すると分かりやすくなります。
ただし、撮影時に自動で明るさや色を調整する機能が働くと、照明の違いが補正されることもあります。結果が思ったように変わらなくても失敗ではありません。どの条件が同じで、何が変わったのかを記録することが大切です。
見せる角度で情報が変わる
商品写真は、角度によって特徴が強調されます。例えば大きく見える角度から撮ったバッグと、厚みを横から写したバッグでは、同じ商品でも受ける印象が違うでしょう。
料理なら、皿の奥行きを見せる角度と、真上から量を見せる角度では、具材の見え方が異なります。写真に写っていない反対側にも同じ具が入っているとは限りません。
だから、商品を選ぶときには正面の一枚だけでなく、側面、背面、サイズが分かる写真や、寸法の表示を確かめると判断しやすくなります。
写真が伝えること、伝えないこと
商品の写真には、形、色、質感の一部などの情報があります。しかし、重さ、耐久性、手触り、使用中の音など、写真だけでは確かめにくい特徴もあります。
モデルが着た服の写真から、自分の体に合うサイズを直接求めることも難しい場合があります。モデルの体格や着用サイズ、服の実寸を合わせて読む必要があります。
目に見えない条件が購入の決め手になるなら、写真以外の仕様や返品条件も確認しましょう。
わざと印象を変えることは全部悪い?
明るく撮る、背景を整える、見栄えのよい角度を選ぶことは、写真表現として日常的に行われます。商品の特徴を分かりやすく示す意図もあります。
問題になるのは、写真によって重要な条件が誤解されるときです。例えば、実際の商品に付属しないものを、説明なしに付属品のように見せれば購入者は勘違いするかもしれません。
見本写真と実物の差を判断するときには、「条件が違ったから見え方が変わった」のか、「購入の判断に必要な情報が示されていない」のかを分けます。後者なら商品説明を確認し、販売者に質問することが役立ちます。
買う前に見る三つの場所
一つ目は、複数の角度から撮った写真です。二つ目は、サイズや重量など数字で示された仕様です。三つ目は、返品・交換の条件です。
衣服なら生地の素材表示、家具なら組み立て後の寸法、料理の宅配なら内容量や容器など、商品によって必要な情報は異なります。
写真を疑ってばかりいる必要はありません。写真が得意な情報と、ほかの方法で確かめるべき情報を分ければよいのです。
数字を一つ足すだけで誤解が減る場合
例えば、家具の写真に人が写っていると、大きさの目安になることがあります。しかし、写っている人の身長や撮り方によって印象は変わります。幅80センチメートル、奥行き40センチメートル、高さ70センチメートルといった寸法が分かれば、部屋のスペースと比較できます。
衣服も同じです。写真ではゆったり見えても、着る人の体格や着用サイズによって印象が異なります。実寸と素材の伸びやすさを確認すれば、写真だけからサイズを判断するより条件をそろえられます。
ただし、数字があればすべて分かるわけではありません。椅子の座り心地や服の肌触りなど、体験して初めて分かることもあります。そこで返品できるかどうかが購入時の判断材料になります。商品の種類によって、どの情報が役立つかは違います。
写真を自分で撮って比べる実験では、光以外にも、撮影距離、画面の明るさ、背景色をそろえた場合と変えた場合を区別してみてください。一度にいくつもの条件を変えると、何が原因で印象が変わったか分かりにくくなります。一つずつ条件を変えることが、観察から理由を考える助けになります。
見え方を変える三つの条件
同じ赤いりんごを撮影するとします。Aは窓際の自然光、Bは暖色の室内灯、Cは暗い部屋で強いライトを一点から当てる条件です。りんごそのものを取り替えなくても、写真の色味やつや、影の形は変わって見えます。
さらに、スマートフォンの自動補正や画面の明るさ設定も表示に影響します。撮影条件と見る側の画面条件は別々です。写真が実物と違って見えたからといって、直ちに意図的な加工があったと断定することはできません。
自分で試すなら同じ物を同じ位置から、照明だけを変えて撮影してみましょう。次に照明を固定して撮影角度を変えます。一度に条件を一つだけ変えると、何が見え方に影響したかを比較しやすくなります。写真は対象物の情報だけでなく、撮影条件の情報も含んでいるのです。
まとめ
見本写真と実物は、光、背景、角度、画面の設定などによって違って見えることがあります。また、写真には写っていない大切な条件もあります。見えたものだけから見えないことを決めつけず、別の証拠で補うと、商品写真をもっと上手に使えるようになります。

