
大学受験の英語定型表現は、数百個のフレーズを上から暗記すると、似た表現が混ざりやすくなります。意味の日本語訳だけでなく、「何をする表現か」という機能で分類し、前後に来る語の形まで一緒に覚えると使いやすくなります。熟語帳の順番を覚えるのではなく、文中で取り出せる形にします。
まず「機能」で棚を作る
定型表現を、たとえば次のように分けます。
- 原因・理由を表す
- 結果・程度を表す
- 譲歩・対比を表す
- 追加・列挙を表す
- 目的を表す
- 比較を表す
- 賛成・反対や判断を述べる
- 時間・順序を表す
同じ日本語訳に見える表現でも、文法上の働きが違うことがあります。
「意味が似ている」だけで同じ棚に入れず、文中でどう使うかを確認します。
頻出表現を機能別に一覧で確認
まずは「表現・後ろの形・機能」を同時に見ます。次の一覧は、大学受験で文章中の論理関係や語法を確認するときの出発点です。
| 表現 | 後ろの形の目安 | 主な機能 |
|---|---|---|
because of |
名詞 / 動名詞 | 原因・理由 |
due to |
名詞句 | 原因・理由 |
as a result of |
名詞句 | 原因・結果の関係 |
although |
主語+動詞の節 | 譲歩 |
even though |
主語+動詞の節 | 譲歩 |
despite |
名詞 / 動名詞 | 譲歩 |
in spite of |
名詞 / 動名詞 | 譲歩 |
whereas |
主語+動詞の節 | 対比 |
not only A but also B |
AとBを対応させる | 追加・強調 |
in addition to |
名詞 / 動名詞 | 追加 |
as well as |
名詞など | 追加・並列 |
in order to |
動詞の原形 | 目的 |
so as to |
動詞の原形 | 目的 |
so that |
主語+動詞の節 | 目的・結果 |
as soon as |
主語+動詞の節 | 時間 |
by the time |
主語+動詞の節 | 時間の基準 |
as long as |
主語+動詞の節 | 条件 |
unless |
主語+動詞の節 | 否定条件 |
in case |
主語+動詞の節 | 場合への備え |
too ... to |
動詞の原形 | 程度・結果 |
... enough to |
動詞の原形 | 程度・可能性 |
so ... that |
主語+動詞の節 | 程度・結果 |
the 比較級 ..., the 比較級 ... |
比較級の対応 | 比例的な比較 |
一覧を一度に全部暗記するのではなく、「節が続く表現」と「名詞・動名詞が続く表現」を比べると、空欄問題で候補を絞りやすくなります。
表現の後ろに何が来るかまで覚える
英語の定型表現では、
- 名詞が来る
- 動名詞が来る
- to不定詞が来る
- 文が続く
など、後ろの形が決まっていることがあります。
意味だけを覚えて、後ろへ何でも置けると思うと文法問題で落とします。
たとえば「~することに慣れている」のような表現なら、後ろに動名詞が来る形まで一組で覚えます。
一語ずつ日本語に戻さない
in spite of のようなまとまりは、各単語を別々に訳してから意味を作るより、一つの機能を持つ塊として認識します。
長文で毎回単語単位に分解すると、読む速度が落ちます。
ただし、塊で覚えることと「意味を考えず丸暗記する」ことは同じではありません。文中でどの関係を作る表現かを理解します。
類義表現は「置き換え条件」を比べる
意味が似た表現でも、文法上そのまま置き換えられない場合があります。
たとえば接続詞の後ろには節が来るのに、前置詞句の後ろには名詞句が来る、といった違いです。
「日本語訳が同じだから交換可能」と考えず、
- 後ろの形
- 文中の位置
- 文体
を比べます。
反意・対比のペアで覚える
not only A but also B のように構造を持つ表現は、語順まで含めて覚えます。
比較や譲歩では、似た構文を対比すると違いが見えやすくなります。
一つのフレーズを孤立させるより、「似ているがここが違う」というペアを作ると、選択肢問題で混同しにくくなります。
語法問題は「前置詞・動詞の形」を確認する
定型表現の問題では、意味より前置詞や動詞形が問われることがあります。
覚えるカードを
日本語 → 英語
だけにせず、
機能|表現|後ろに来る形|例文
の四列にします。
前置詞だけを穴埋めにしたり、動名詞/to不定詞を選ばせたりすると、使える記憶になります。
例文は短く、自分で意味が分かるものにする
難しい英文をそのまま暗記すると、表現より周囲の文を覚えてしまいます。
たとえば「譲歩」を覚えるなら、日常的な短い内容で一文作ります。
Although it was raining, we went out.
表現の働きが一目で分かる長さにします。
大学受験向けだからといって、例文まで難解にする必要はありません。
長文では「論理関係の標識」として使う
定型表現の一部は、長文の論理展開を示します。
対比、追加、因果、具体化などの表現を見つけたら、次の文が前の文とどんな関係か予測できます。
知らない単語があっても、
「ここから反対方向の内容が来る」
と分かれば、文全体を読みやすくなります。
語彙問題と読解問題を別々にせず、表現を文章構造の手掛かりとして使います。
英作文では「知っているが使えない」を確認する
選択肢を見れば意味が分かる表現でも、自分で英文を書くと出てこないことがあります。
学習では、
- 見て意味を言う
- 空欄を埋める
- 日本語から表現を出す
- 自分の文で使う
の順に負荷を上げます。
認識できるだけの語彙を、産出できる表現へ変えます。
よくある失敗は一つの日本語訳へ固定すること
英語の表現は文脈によって訳し方が変わります。
日本語カードに「~にもかかわらず」とだけ書き、その訳語が出れば理解したことにすると、長文で不自然な直訳になります。
覚える中心は日本語訳ではなく、文と文の関係や、語句の働きです。
受験直前は「忘れた表現だけ」を再分類する
全リストを毎回最初から回すと、知っている表現にも時間を使います。
間違えた表現を、
- 意味を忘れた
- 語順を忘れた
- 前置詞を間違えた
- 後ろの語形を間違えた
のように分類します。
同じ原因のミスをまとめて復習すると、弱点が見えます。
練習:一つの表現を四方向から答える
一つの定型表現について、
- 意味
- 機能
- 後ろに来る形
- 自作例文
を答えます。
さらに似た表現を一つ挙げ、何が違うか説明します。
一問一答を、比較・産出まで広げる練習です。
次は長文から表現を拾って棚へ戻す
問題集の長文で定型表現を見つけたら、熟語帳の番号を思い出すのではなく、
「対比」「原因」「追加」「目的」などの棚へ戻します。
表現→機能→文中の役割を往復できれば、丸暗記したリストが読解・文法・英作文の共通資産になります。
語源やイメージは補助として使う
前置詞を含む表現では、語源や中心イメージが記憶の助けになることがあります。ただし、それだけで全用法を説明しようとすると誤ります。
実際の用例でどの語と結びつくかを確認し、イメージは思い出す手掛かり、最終判断は文中の使われ方と分けます。受験では「理屈は分かるのに空欄へ入れられない」状態を避けるため、例文と語法をセットにします。
参考資料
- 文部科学省「中学校学習指導要領解説 外国語編」



