コインが3回続けて表。次は裏が出やすい? 「そろそろ」を試す確率実験

表が3回続けて出たコインを見たら、次は裏になる気がしませんか。表ばかりが続くと、どこかでバランスを取り戻しそうに思えます。逆に「表の流れが来ているから、次も表かも」と感じる人もいるでしょう。

表裏がそれぞれ2分の1の確率で出るような公平なコインを、毎回独立に投げるという条件なら、次の1回で表が出る確率も裏が出る確率も、やはり2分の1です。過去の結果を見てから投げても、コインの仕組みが変わるわけではありません。

ただし、この結論を使えるのは「公平」「独立」という条件がある場合です。人間が表裏の出方を操作したり、投げ方に大きな偏りがあったりするなら別に調べる必要があります。

四つの結果を並べてみる

すでに「表・表・表」が出たとしましょう。次の1回を考えると、候補は二つです。

  • 表・表・表・表
  • 表・表・表・裏

最初の三つはすでに起きた事実です。これから何が起きるかを考えるとき、比較するのは最後の一回だけ。その最後の一回は公平なコインなら同じ確率です。

一方、「投げ始める前に、表が4回続く確率」を聞かれたら話は変わります。これは(1/2)⁴=1/16です。「最初の3回が表だったと分かっているとき、4回目も表になる確率」と混同してはいけません。前者はまだ何も起きていない段階の四連続、後者は三連続が確定したあとの一回です。

いつの時点で何を知っているかをそろえると、一見矛盾する1/16と1/2の数字が両方正しい理由が見えてきます。

10回投げて、表が8回だったら?

ここで、架空の実験を考えます。公平なコインを10回投げて、表が8回、裏が2回だったとします。「本当は表裏5回ずつのはずだから、次は裏が続く」と思いたくなるかもしれません。

しかし、10回終了時点で表と裏が同数になる義務はありません。公平というのは、少ない回数でも表裏が必ず半分ずつになるという意味ではないからです。各回の確率が2分の1でも、短い列では偏りが起こります。

11回目に裏が出たとしても、表8回・裏3回で、まだ同数にはなりません。もし次も裏になったら、表8回・裏4回。過去の偏りを強制的に埋める仕組みがコインに組み込まれているわけではありません。

もちろん、公平なコインを非常に多くの回数投げれば、表の出る割合が2分の1に近づく傾向はあります。でも、それは「次の数回で借りを返す」という意味ではありません。割合が長い目で近づくことと、次の結果が過去の帳尻を合わせることは違います。

記録するなら回数と順番を分ける

例えば10回の結果が次の二つだったとします。

A:表表表表表裏裏裏裏裏

B:表裏表裏表裏表裏表裏

どちらも表5回・裏5回です。回数だけを数えると同じになりますが、順番を見るとずいぶん違って見えます。「交互に出ている方が自然」と思う人もいるでしょう。

しかし、各回が独立で公平なら、指定したAという一つの並びの確率と、指定したBという一つの並びの確率は同じ(1/2)¹⁰です。「表と裏が5回ずつ」という条件を満たす並びはほかにも多数あるので、「半々になる確率」と「特定の順番になる確率」も区別する必要があります。

この違いは、乱数を見て「これは不自然だから、きっと操作されている」と早合点するのを防ぎます。もちろん本当に不正がないかを調べるには、回数や選び方を含め、適切な検証が必要です。

予想してから投げると、何に気づく?

紙に「次の10回で表が何回出ると思うか」を書いてから、10回投げてみてください。次に、10回分を眺めて「11回目は表か裏か」を予想します。予想と結果のどちらも記録します。

ここで大切なのは、予想が外れたことを恥ずかしがらないことです。たった10回では、実際に5対5になるとも限りません。予想が当たったから理論が証明されたわけでも、外れたから確率の説明が間違いになったわけでもありません。

可能なら、いくつかのグループで同じ実験をして、表の数だけでなく表裏の並びも比べてみてください。「同じ半々でも、並び方はまるで違う」という発見があるかもしれません。

「そろそろ」の直感が役立つ場合もある

ここまでの説明を、すべての現実の出来事へ当てはめるのは危険です。例えば、箱に赤い玉5個と青い玉5個があり、取り出した玉を戻さずに引くなら、前に何色を引いたかによって次の確率は変わります。最初に赤を4個取り出したなら、残りは赤1個・青5個です。次に赤を引く確率は1/6になります。

コイン投げと玉の取り出しの違いは、過去の出来事が次の条件を変えるかどうかです。これを分けられれば、「公平なコイン」と「残りの玉を数えるくじ」を同じ理屈で考える間違いを避けられます。

次に確率を予想するときは、「今までに何が起こった?」の前に、**「それによって次の試行の条件が変わった?」**と尋ねてみてください。その一問で、直感を使ってよい場面と、いったん疑ってみる場面が見えてきます。

もう一つ、手軽な検算があります。「三回連続で表が出ること」と「三回投げて表が二回出ること」を比べてみましょう。三回連続で表となる並びは「表表表」の一通りです。一方、表が二回になる並びは「表表裏」「表裏表」「裏表表」の三通り。公平な独立試行では一つの並びが出る確率はそれぞれ1/8なので、後者をまとめた確率は3/8です。並びの一つを当てる問題と、条件に合う複数の並びを数える問題も違うと分かります。三回の例なら、紙に八通りを書き出して確かめられます。

数値は理想化した公平・独立な試行を前提とする数学的説明です。実際の硬貨の物理的な偏りを測定した結果ではありません。

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コインが続けて表だったことと、次に表が出る確率は別です。直感と確率を分けて考えます。この見方を別の場面にも広げたいときは、思考OS 第9章「確率で考える」を読んでみてください。

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