分散の求め方|平均との差をそのまま足さず、2乗する理由まで

分散は、データが平均の周りにどれくらい散らばっているかを表す量です。基本の流れは、平均を求める→各データと平均との差を出す→差を2乗する→その平均を取るです。「平均との差をなぜ2乗するのか」まで理解すると、公式を忘れても復元しやすくなります。

まず平均を求める

データが
2, 4, 6
なら平均は

x=2+4+63=4

です。

分散は、この平均4から各データがどれくらい離れているかをまとめます。

平均差をそのまま足すと0になる

平均との差は、

  • 2-4=-2
  • 4-4=0
  • 6-4=2

です。

これをそのまま足すと

-2+0+2=0

になります。

データが散らばっているのに0になってしまいます。

平均は「差の正負がつり合う位置」なので、平均との差をそのまま合計しても散らばりの大きさにはなりません。

そこで差を2乗する

平均との差を2乗すると、

  • (-2)^2=4
  • 0^2=0
  • 2^2=4

です。

平均を取ると、

4+0+43=83

です。

これが、このデータ全体を母集団として扱う基本問題での分散です。

2乗することで負の差も正になり、大きく離れた値ほど大きく効きます。

公式は手順を一行にしたもの

データ x1,…,xn の平均を x とすると、

1nΣi=1n(xi-x)2

という形で表せます。

記号が難しく見えても、
「平均から引く→2乗→全部足す→個数で割る」
を一行にしただけです。

問題で標本分散・不偏分散など別の定義を扱う場合は分母が異なることがあるため、問題の定義を確認します。

標準偏差は分散の平方根

分散が 8/3 なら、標準偏差は

√(8/3)

です。

分散では元の単位も2乗されます。標準偏差は平方根を取ることで元のデータと同じ次元へ戻ります。

分散と標準偏差は別々の散らばりを測るのではなく、同じ情報を違う尺度で表します。

計算例:1, 3, 5, 7

平均は

(1+3+5+7)/4=4

平均との差は -3,-1,1,3。

2乗は9,1,1,9。

合計20を4で割るので、分散は5です。

標準偏差は √5 です。

計算表を作ると符号ミスが減る

x x-平均 (x-平均)^2
1 -3 9
3 -1 1
5 1 1
7 3 9

平均との差が負でも、2乗後は正です。

暗算で一気に処理するより、列を分けると「平均との差を出す前に2乗した」などのミスを発見できます。

別の計算式もある

分散は、
「二乗の平均 - 平均の二乗」
の形でも計算できます。

先ほどの1,3,5,7なら、二乗の平均は

(1+9+25+49)/4=21

平均の二乗は16。

21-16=5

で同じです。

どちらを使っても定義上同じ分散になります。

どちらの式を使うか

データ数が少なく平均との差が簡単なら、平均との差を直接2乗する方法が理解しやすいです。

二乗和などがすでに与えられているなら、「二乗の平均-平均の二乗」が速いことがあります。

公式を二つの別物として暗記せず、同じ分散を別の計算経路で求めていると考えます。

よくある誤り:平均との差の絶対値を使う

「負になるのが困るなら絶対値でよいのでは」と思うかもしれません。

絶対値を平均する別の散らばり指標も考えられますが、それは分散ではありません。

分散は2乗を使うと定義されています。後の標準偏差、正規分布、統計的推測などとのつながりでも2乗が重要になります。

よくある誤り:最後の割り算を忘れる

平方偏差を全部足しただけでは、データ数が多いほど値が大きくなりやすくなります。

分散として比較するには、採用している定義に従って平均を取ります。

学校問題では、分母がnか別の値か、問題文・単元の定義を確認してください。

変換すると分散はどう変わるか

すべてのデータに同じ数を足しても、平均との差は変わりません。

たとえば 1,3,5,7 に10を足して 11,13,15,17 にしても、平均との差は同じ -3,-1,1,3なので分散は同じ5です。

一方、すべてを2倍すると平均との差も2倍になり、2乗は4倍になるので分散は4倍です。

この性質は、公式を操作するだけでなく、分散が何を測っているかを理解する助けになります。

次は「中心」と「散らばり」を別々に説明する

平均が大きいことと分散が大きいことは別です。

データAとBを比べるとき、

  • 中心は平均・中央値
  • 散らばりは分散・標準偏差・四分位範囲
    のように役割を分けます。

平均からどれだけ離れるかを2乗して平均するという意味を保てれば、計算式が変形されても分散だと見抜きやすくなります。

分散を比較するときは平均の違いと混ぜない

二つの集団で平均が違っていても、分散は「それぞれの平均の周りにどれだけ広がっているか」を見ます。

A=9,10,11、B=99,100,101 なら、平均は10と100で大きく違いますが、平均との差はどちらも -1,0,1 なので分散は同じです。

反対に平均が同じでも、9,10,11 と 0,10,20 では散らばりが違います。

この比較を持っておくと、「平均が大きいから分散も大きい」という誤解を避けられます。

参考資料

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領・解説」
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領 情報科関係資料」
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