
これだけ覚えよう
- 何かを断られたとき、「自分そのものを拒絶された」と広げすぎない。
- 「今は上のクラスへ移れない」と言われても、それは「あなたはダメ」という一生の判決ではない。
- 「何を断られた?」「いつの話?」「誰の判断?」「理由は何?」と範囲を確かめる。
- 範囲を分けても、断られた痛みまで消えるとは限らない。
- 痛いままでも、まだやりたいなら続けられる。拒絶されたことと、その先へ進めないことは同じではない。
上のクラス
上のクラスへ移りたいと、先生に言った。
言うまでに、三週間かかった。
先生は、少し考えてから、いまはまだ、と言った。理由も一つ添えてくれた。
こちらは、はい、と答えた。
答えたあと、教室を出て、階段を降りて、外へ出て、そこでようやく、手に力が入っていないことに気づいた。
痛い。
三週間分の練習が、そのまま返ってきたように感じる。上手くないと言われたのではない。いまはまだ、と言われただけだ。それなのに、帰り道で頭にあるのは、上手くない、のほうだった。
断られたのは、何だったのか。
移りたいという申し出だ。
いつのことか。
今日のことだ。来年のことは、まだ何も言われていない。
誰にか。
あの先生に。あの先生の見方で、いまの段階について、そう言われた。
条件は。
添えられた理由は、一つだけだった。速い曲でつまずくところがある、というものだった。全部が足りない、とは言われていない。
書き出してみると、返ってきたのは一枚の返事で、判決ではなかった。
判決だと感じたのは、こちらが三週間、その一枚に全部を乗せていたからだ。
乗せていたものが重かったので、返ってきたときも重かった。
それでも、痛みは残る。
分けたから軽くなる、ということは起きない。分けて分かるのは、この痛みがどこまでの話か、それだけだ。
来週も、同じ教室へ行く。
行くと決めたのは、断られなかったからではない。断られたあとに、まだ行きたいと思ったからだ。
速い曲の、つまずくところだけ、今日から少し多めに弾いている。
次に頼むのがいつになるかは、まだ決めていない。
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