
細かい情報を、一文にまとめてみる3分実験
こんな三文があります。
朝、家を出るのが10分遅れた。 駅へ着く直前に電車が発車した。 次の電車に乗ったので、学校には5分遅刻した。
ここへ「つまり」を置いて、一文にまとめてみます。
まずやってみる
1. 三文のまま読む
何が起きたのか、細かい順番まで分かります。
2. 最後に「つまり」を置く
朝、家を出るのが10分遅れた。 駅へ着く直前に電車が発車した。 次の電車に乗ったので、学校には5分遅刻した。 つまり、家を出るのが遅れたことが遅刻につながった。
全体の意味が一文にまとまりました。
3. 「つまり」だけ残す
家を出るのが遅れたことが、学校への遅刻につながった。
短くなりました。
でも、
- 10分
- 電車
- 5分
という細部は消えています。
4. 今度は「つまり」を最初に置く
家を出るのが遅れたことが、学校への遅刻につながった。 朝は10分遅く家を出た。駅へ着く直前に電車が発車し、次の電車に乗ったため学校には5分遅れた。
今度は、最初から「何を説明する話か」が分かった状態で細部を読みます。
ここから種明かし
「つまり」は、前にある情報をそのまま繰り返す言葉ではありません。
複数の情報から、
何を中心として取り出すかを決める
働きがあります。
今回なら、
- 朝10分遅れた
- 電車に乗れなかった
- 5分遅刻した
という三つから、
出発の遅れが遅刻につながった
という関係を取り出しました。
だから「つまり」の後は、元の文章と完全に同じではありません。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| 細かい情報 | 10分遅れた、電車を逃した、5分遅刻した |
| まとめた情報 | 出発の遅れが遅刻につながった |
| まとめると消えるもの | 数字や途中の出来事 |
| 最初にまとめる | 何の話か分かった状態で細部を読む |
文章で見ると?
要約は「短縮」だけではない
要約するときには、必ず何かを残し、何かを落とします。
そのため、
つまり○○です
と書くことは、
私は、この部分を中心だと考えました
と示すことでもあります。
要約がずれていれば、元の文章そのものの受け取り方まで変えてしまいます。
記憶学で見ると?
細かい情報を一つのまとまりにすると、全体を思い出すための手がかりとして使える場合があります。
一方、まとめた一文だけを覚えると、途中の細部は失われやすくなります。
つまり、
要点を残すことと、細部を残すことは別の目的
です。
記憶OSから補足
(記憶OSは「脳のOS」の一部です)
圧縮記憶
複数の情報から中心を取り出し、扱いやすい形へまとめます。
ただし、圧縮した分だけ、元の細部は落ちます。
脳のOSで見ると?
本質抽出
複数の出来事から、「何が中心なのか」を一つ取り出しました。
他には……
- 具体⇄抽象変換: 個別の出来事を、一段まとめた意味へ上げる。
- 選ぶと捨てる: 要約に残す情報と落とす情報を選ぶ。
- 因果関係: 出発の遅れと遅刻のつながりを見る。
- 誤解修正: 要約が元の情報を言い過ぎていないか確かめる。
もう一度だけ
次の三文を「つまり」で一文にまとめてください。
ノートを家に忘れた。 友達に紙を一枚もらった。 授業後、その紙をノートに貼った。
何を中心としてまとめるかで、「つまり」の後は変わります。

