第22回|「つまり」を書く前と後で、意味は同じ?

細かい情報を、一文にまとめてみる3分実験

こんな三文があります。

朝、家を出るのが10分遅れた。 駅へ着く直前に電車が発車した。 次の電車に乗ったので、学校には5分遅刻した。

ここへ「つまり」を置いて、一文にまとめてみます。

まずやってみる

1. 三文のまま読む

何が起きたのか、細かい順番まで分かります。

2. 最後に「つまり」を置く

朝、家を出るのが10分遅れた。 駅へ着く直前に電車が発車した。 次の電車に乗ったので、学校には5分遅刻した。 つまり、家を出るのが遅れたことが遅刻につながった。

全体の意味が一文にまとまりました。

3. 「つまり」だけ残す

家を出るのが遅れたことが、学校への遅刻につながった。

短くなりました。

でも、

  • 10分
  • 電車
  • 5分

という細部は消えています。

4. 今度は「つまり」を最初に置く

家を出るのが遅れたことが、学校への遅刻につながった。 朝は10分遅く家を出た。駅へ着く直前に電車が発車し、次の電車に乗ったため学校には5分遅れた。

今度は、最初から「何を説明する話か」が分かった状態で細部を読みます。

ここから種明かし

「つまり」は、前にある情報をそのまま繰り返す言葉ではありません。

複数の情報から、

何を中心として取り出すかを決める

働きがあります。

今回なら、

  • 朝10分遅れた
  • 電車に乗れなかった
  • 5分遅刻した

という三つから、

出発の遅れが遅刻につながった

という関係を取り出しました。

だから「つまり」の後は、元の文章と完全に同じではありません。

ここまでの答えを見比べてみよう

<見るところ> <たとえば>
細かい情報 10分遅れた、電車を逃した、5分遅刻した
まとめた情報 出発の遅れが遅刻につながった
まとめると消えるもの 数字や途中の出来事
最初にまとめる 何の話か分かった状態で細部を読む

文章で見ると?

要約は「短縮」だけではない

要約するときには、必ず何かを残し、何かを落とします。

そのため、

つまり○○です

と書くことは、

私は、この部分を中心だと考えました

と示すことでもあります。

要約がずれていれば、元の文章そのものの受け取り方まで変えてしまいます。

記憶学で見ると?

細かい情報を一つのまとまりにすると、全体を思い出すための手がかりとして使える場合があります。

一方、まとめた一文だけを覚えると、途中の細部は失われやすくなります。

つまり、

要点を残すことと、細部を残すことは別の目的

です。

記憶OSから補足

(記憶OSは「脳のOS」の一部です)

圧縮記憶

複数の情報から中心を取り出し、扱いやすい形へまとめます。

ただし、圧縮した分だけ、元の細部は落ちます。

脳のOSで見ると?

本質抽出

複数の出来事から、「何が中心なのか」を一つ取り出しました。

他には……

  • 具体⇄抽象変換: 個別の出来事を、一段まとめた意味へ上げる。
  • 選ぶと捨てる: 要約に残す情報と落とす情報を選ぶ。
  • 因果関係: 出発の遅れと遅刻のつながりを見る。
  • 誤解修正: 要約が元の情報を言い過ぎていないか確かめる。

もう一度だけ

次の三文を「つまり」で一文にまとめてください。

ノートを家に忘れた。 友達に紙を一枚もらった。 授業後、その紙をノートに貼った。

何を中心としてまとめるかで、「つまり」の後は変わります。

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