感情OS 第22章|環境設計

これだけ覚えよう

  • 自分を我慢させるだけでなく、やりやすい・やりにくい環境を作る。
  • ギターを弾きたいなら出しておく。スマホを触りすぎるなら、少し遠い場所へ置く。
  • やりたいことは始めるまでの手間を減らし、やめたいことは手間を少し増やす。
  • 場所に役割を持たせて、「ここでは勉強」「ここでは休む」と分ける方法もある。
  • 行動を変えたいなら、気持ちだけでなく、周りの置き方や使い方も変えてみる。

お菓子を、やめたい。

その人の机の上に、
お菓子の袋が置いてある。

この勝負は、
もう終わっている。

夕方、すり減った意志が
手を伸ばして、おしまいだ。

でも、想像してほしい。

同じお菓子が、
戸棚の奥の、
箱の中の、
輪ゴムで縛った袋の中に
あったなら。

……たぶん、
面倒になって食べない。

食べたい気持ちは、
同じなのに。

変わったのは、
心ではなく、地形である。

川の水は、
低い方へ、
流れやすい方へ流れる。

流れを変えたい人は、
水を説得したりしない。

地形の方を、変える。

環境設計とは、
意志と戦わずに、
地形を変えることである。

■水の恥では、ない

人は、自分で思うより
ずっと、環境に従っている。

視界に入ったものを、触る。

近くにあるものを、食べる。

楽な方を、選ぶ。

がっかりする話では、ない。

水が低きに流れるのは、
水の恥ではない。

それに、
環境に従うということは、
環境を作った人に
従うということだ。

だったら、その席に
自分が座ればいい。

■二十秒の、坂を作る

地形工事のコツは、
手間の量にある。

やりたい行動は、
始めるまでの手間を、
二十秒だけ減らす。

やめたい行動は、
始めるまでの手間を、
二十秒だけ増やす。

そのわずかな坂で、
流れは変わってくる。

ギターを弾きたいなら、
ケースから出して、
部屋の真ん中に
立てておく。

スマホを減らしたいなら、
充電器を
別の部屋に移す。

取りに行く二十秒が、
「まあ、いいか」を
生んでくれる。

意志が強く見える人は、
たいてい、
坂の作り方が
うまい人である。

■場所に、仕事を割り当てる

もうひとつの工事は、
場所の役割分担だ。

この机では、
勉強しかしない。

このソファでは、
休むだけ。

寝床には、
スマホを持ち込まない。

場所と行動を
一対一で結んでおくと、
脳は場所を見ただけで、
切り替えを始める。

逆に、同じ場所で
何もかもやっていると、
机に着くたび、
遊びと仕事が
席の取り合いを始める。

広い家は、要らない。

机の右半分と左半分でも、
役割は分けられる。

■朝のうちに、水路を

明日の夕方も、
あなたの意志は
すり減っている。

それでいい。

夕方の自分を
責めるのではなく、
朝の自分が、
地形を整えておく。

お菓子は、戸棚の奥へ。

ギターは、部屋の真ん中へ。

充電器は、隣の部屋へ。

水路さえ掘ってあれば、
疲れた水も、
ちゃんと海へ着く。


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