
これだけ覚えよう
- 自分とは違う場所から見たら、どう見えるか考えてみる。
- 同じ机でも、自分の席から見える景色と、向かいの席から見える景色は違う。
- 相手の立場、そこにいない人、半年後の自分など、別の「席」を借りて見ることができる。
- 相手の立場から見ることは、相手に賛成することではない。
- 別の視点を増やしてから、「今回はどの見方を使って決める?」を選ぶ。
借りている席
面談の机は、長いほうを挟んで向かい合う形に置いてある。
こちらの席からは、窓が見える。相手の後ろで、木が揺れている。
話が終わって、相手が出ていったあと、片づけのために反対側へ回った。
座るつもりはなかった。ただ、椅子が引かれたままだったので、そのまま腰を下ろした。
窓がない。
正面にあるのは、壁と、掲示物と、こちらの席の背もたれだ。この席からは、外の天気が分からない。時間の経ち方も分からない。掲示物の一枚は、日付が半年前で止まっている。
さっき、相手が何度か視線を上げていたのを思い出す。上げた先には、あの止まった日付があった。
同意したわけではない。相手の言い分が正しくなったわけでもない。増えたのは、相手が話しているあいだ、何を見ていたかという事実だけだ。
席は四つある。
自分の席。相手の席。この部屋にいなかった人の席。それから、半年後にこの記録を読む人の席。
三つ目に座ると、二人が同じ書類を別の名前で呼んでいたことに気づく。どちらも自分の呼び方で通していて、通っていた。
四つ目に座ると、今日の話のうち、記録に残るのは二行だと分かる。二行に残らなかったほうに、双方が長く時間を使っていた。
どの席でも、机の上の書類は動いていない。日付も、数字も、そのままだ。
動いたのは、何が見えて、何が見えないかのほうだけである。
四つ全部を等しく扱う必要はない。
半年後の席から見えたことは、いま決めることに直接効く。この部屋にいなかった人の席から見えたことは、今日の判断には使わない。使わないと決めたことも、席を借りたから決められる。
自分の席へ戻る。
窓が見える。木も、さっきと同じように揺れている。
ただ、こちらの背もたれが、向かいからどう見えていたかを、いまは知っている。
この考え方を普通の言葉で読む
→ 解説版で読む

