
3分実験:「私も」を三通りに変えてみる
まずやってみる
相手が言いました。
「最近、仕事が忙しくて、帰ると何もする気が起きないんです」
三つの返しを比べます。
A
「それは疲れそうですね」
B
「それは疲れそうですね。私も忙しい日は、帰ると何もしたくなくなります」
C
「分かります。私なんて先月もっと大変で、毎日終電で、休みの日も仕事していて……」
同じように「自分の経験」を使っていても、会話の重心は少しずつ違います。
1
Aでは、自分の経験は出していません。
2
Bでは、自分の経験を一文だけ足しています。
そのあと、まだ相手の話へ戻れそうです。
3
Cでは、自分の経験が大きくなっています。
そのまま続けば、会話の中心が相手から自分へ移る可能性があります。
ここから種明かし
「自分の経験を話すこと」は、一つの行動に見えます。
でも分けてみると、
- 相手の話を受け取る
- 共通点を示す
- 自分の経験を話す
- そのまま自分の話を続ける
は別の動きです。
同じ「私も」でも、相手へ戻るために使うこともあれば、そのまま話の主役を自分へ移すこともあります。
今回見たいのは、その境目です。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| A | 相手の体験に反応する |
| B | 反応+短い自分の経験 |
| C | 自分の経験が大きく広がる |
| 共通している点 | 相手の話から始まっている |
| 違うところ | 自分の経験が占める大きさ |
コミュニケーションで見ると?
「自己開示した方がいい」だけでは、少し足りません。
自己開示にも大きさがあります。
問題は、自己開示するか、しないかだけではなく、どこまで広げるかにもあります。
相手の話を受け取るための一文だったものが、気づけば自分の長いエピソードに変わることもあります。
脳のOSで見ると?
境界理解
今回見たのは、
自分の経験を少し足す
↓
自分の話が中心になる
その境界です。
この境界は、文章の長さだけで機械的に決まるわけではありません。
相手がさらに聞きたそうか、自分の話へ戻りたそうかでも変わります。
さらに、構造分解として、
- 受け取る
- 共通点を示す
- 自分の経験を出す
- 自分の話を広げる
に分けると、どこで重心が動いたかを見つけやすくなります。
もう一度だけ
相手が言いました。
「最近、寝ても疲れが取れなくて」
次の三つを作ってください。
- 自分の経験を出さない返し
- 自分の経験を一文だけ出す返し
- 自分の経験がかなり大きい返し
三つを並べると、境界が見えやすくなります。

