黒い服は白い服より紫外線を防ぐ? 色だけでは決まらないUPF

日差しの強い日に「黒い服の方が紫外線を防ぐ」「白い服なら涼しい」と聞くことがあります。ところが、色が同じでも薄く透ける布と目の詰まった布では、紫外線の通り方が違います。暑さと日焼け対策も、同じ一つの数字では決まりません。衣類の色、構造、表示を分けて考えましょう。

UPFと日本のUVカット率は別の数字

UVカット率とUPFは同じ意味ではありません。JIS L 1925では生地に光を通して紫外線遮蔽率やUPFを評価します。UPF50+などの表示だけで、首や袖口から直接入る日差しまで遮られるとは限りません。

UPFは布を透過する紫外線から肌を守る度合いを示す指標です。UPF50なら、試験条件で評価する紫外線の影響をおおむね50分の1に抑えるという考え方に対応します。一方、日本の衣料品で見かける『紫外線遮蔽率90%』などは、遮った紫外線の割合を示す表示です。両者は測定・評価の方法が異なり、UPFの数字を単純に『UVカット率と同じ%』へ読み替えてはいけません。

国内には繊維製品の紫外線遮蔽性を評価するJIS L 1925などの試験規格があります。商品表示を見るときには、数値の大小だけでなく、UPFか遮蔽率か、どの規格による測定かを確かめましょう。織り目の細かさ、布の厚さ、濡れた状態、伸ばして着た状態などでも透過する紫外線が変わる場合があります。白でも高機能な素材はあり、黒ければ必ず安全ということではありません。

色が違うと紫外線の吸収も変わる

紫外線は目に見えない光の一種です。布に当たった光の一部は吸収され、一部は反射され、一部は布を通過します。染料や繊維の種類が変わると、この割合も変わります。一般に濃い色の方が紫外線を吸収しやすい場合がありますが、それだけで衣服の防御性能を決めることはできません。

オーストラリアの放射線防護機関ARPANSAは、衣類の紫外線防護性能には色だけでなく、織り密度、厚さ、伸び、素材の加工状態などが関係すると説明しています。穴の多い薄いニットでは、紫外線がすき間を通過する余地があるからです。

濃い色の布でも大きく伸ばして着ると編み目が広がる場合があります。「黒いから絶対に安全」という結論が成り立たない理由の一つです。

UPFは何を表す数字なのか

衣類の紫外線対策で見かけるUPFは、Ultraviolet Protection Factorの略で、布が紫外線をどの程度通しにくいかを表す指標です。たとえばUPF 50という値は、基準となる試験条件の下で、紫外線の影響を評価したうえで防御性能を表すものです。数値を単純に「50%カット」と読み替えてはいけません。

説明を簡略化すると、UPF 50なら対象となる紫外線の影響が布を通して約50分の1になる水準だとイメージできます。ただし実際の評価は紫外線の波長に応じた重み付けを含み、使用時の伸びや濡れ方などで性能は変わります。

ARPANSAが紹介する分類にはUPF 15、30、50、50+などがあります。数字が大きいものを選ぶときも、試験表示がどの製品に対して付いているのかを確認しましょう。布だけの試験値と、着た人の全身が守られる割合は同じではありません。

暑く感じることと紫外線対策は別

白い服は可視光を多く反射して見えるものが多く、黒い服は可視光をよく吸収します。ただし、体が感じる暑さは太陽光の吸収だけでは決まりません。布の通気性、厚み、風、汗の蒸発、服と肌の間隔などが関係します。

日なたで服の表面温度が高くなったからといって、肌に到達した紫外線の量をその温度だけで判断することはできません。紫外線と赤外線・可視光は、同じ光でも性質が異なります。涼しく感じる白い薄手の布が、紫外線を十分に遮るとは限らないのです。

反対に、紫外線を通しにくい布でも風を通さない設計なら暑く感じる場面があります。衣類には別々の性能があり、一つを改善すると別の性能が変わることもあります。

家庭でできるのは「仕組みの観察」まで

布を窓に向けてかざし、光の透け方を見ると、編み目のすき間が大きいかどうかを大まかに比べられます。しかし、目に見える光の透け方と紫外線の透過率が完全に一致するわけではありません。目視でUPF値を決めることはできません。

同じ色で厚みの異なる布、同じ厚みで織り方の異なる布を見比べれば、色だけで決めることの難しさが分かります。何を変えたか分かるようにして観察しましょう。紫外線ランプなどを使う危険な実験は不要です。

濡れた服を着ているときや、生地が体に引っ張られて伸びているときは、乾いて平らな試験布と条件が違います。製品の試験値を現実の場面へ使うとき、この差を意識する必要があります。

服だけに頼らず、守る範囲も考える

紫外線対策では、腕や首、顔など服が覆っていない場所も問題になります。日陰、帽子、日焼け止めなど別の方法と組み合わせて考えることが重要です。ARPANSAも衣服だけを唯一の対策としないよう案内しています。

衣類を選ぶときは、色だけでなくUPF表示、編み目の密度、厚さ、着たときの伸び、覆う面積、暑い時期に着続けられるかを確認しましょう。高いUPF値でも着心地が悪くてすぐ脱いでしまうなら、使い方まで含めた判断が必要です。

結局、「黒か白か」は紫外線対策の一要素です。色と布の構造、表示と実際の着用条件、暑さと紫外線を分ければ、短い宣伝文句より確かな基準で服を選べるようになります。

UPFの数を割合として読むときの注意

説明用の理想化した条件で、布を通過する紫外線の影響が入射時の50分の1なら、通過する割合はおよそ2%です。100分の1ならおよそ1%です。ただし、これは単純な割合のイメージであり、UPFの正式な測定値を家庭で計算できるという意味ではありません。実際には紫外線の波長ごとの違いを考慮します。

また、同じ製品でも布が伸びたり、古くなって摩耗したりすれば状態が変わります。新品の測定結果を、長く使った後の着用時にそのまま当てはめることには注意が必要です。

服の色と日射熱を混同しない例

例えば白い薄手の服と黒い厚手の服を比べて、黒い方が暑く感じたとします。その結果だけで、色の差がすべての原因だと確定することはできません。厚みや通気性も違うからです。色だけの効果を調べたいなら、同じ布の構造で色だけが違う試料を比べる必要があります。

さらに、表面温度が低くても、紫外線の透過が多ければ肌の保護という目的には合わない場合があります。「涼しさ」と「紫外線を通しにくいこと」を別々に評価すると、暑い日の服選びを一つの印象だけで決めずに済みます。

海やプールなどで長い時間過ごすなら、服の生地だけでなく、帽子や日陰を利用できるかも事前に考えます。腕を動かしたときに袖が上がって肌が出る場合など、布そのもののUPFが高くても覆われていない部分は守れません。測定値と使い方の違いを考えることが、紫外線対策の実効性につながります。

参考資料

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