
3分実験:四人の「会話上手」を、場面を変えて比べてみる
まずやってみる
四人を想像してください。
Aさん
質問が得意です。
相手の話をよく引き出します。
一方、自分についてはあまり話しません。
Bさん
自分のエピソードが豊富です。
話を聞いていると面白いのですが、話し始めると少し長くなることもあります。
Cさん
相手への反応が丁寧です。
気持ちや出来事をよく受け取ります。
ただ、自分から話題を広げることはあまり多くありません。
Dさん
話題を次々に広げるのが得意です。
会話が止まりにくい一方、一つの話を深く聞く前に次へ進むこともあります。
さて、一番「会話がうまい」のは誰でしょう。
1
まず、一人だけ選んでみてください。
2
次に場面を変えます。
- 悩み相談なら?
- 初対面なら?
- 仲の良い友達との雑談なら?
- 三分しか時間がないなら?
同じ人を選ぶでしょうか。
3
今度は、
「会話がうまい人とは○○できる人」
の○○を一つだけではなく、いくつか書いてみてください。
ここから種明かし
このシリーズでは、
質問、反応、自己開示、具体化、話題転換、エピソード、沈黙、冗談など、いろいろ動かしてきました。
でも最後まで、「質問をたくさんすれば会話上手」とはしませんでした。
質問が必要なときもある。
話した方がよいときもある。
広げた方がよいときもある。
一つの話を深く続けた方がよいときもある。
つまり、「会話がうまい」を一つの能力だけで定義すると、こぼれるものが多いのです。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| Aさん | 聞くのが得意/自分はあまり出さない |
| Bさん | 話すのが得意/長くなることがある |
| Cさん | 受け取るのが得意/展開は少なめ |
| Dさん | 広げるのが得意/深掘り前に進むことがある |
| 場面を変えると | 評価も変わり得る |
| 「会話上手」は一能力か | そうとは限らない |
コミュニケーションで見ると?
「会話が苦手」という言葉も、大きすぎることがあります。
このシリーズで分けてきたように、
- 相手の言葉を拾う
- 発言を分けて見る
- 質問の広さを変える
- 自分の情報も出す
- 話題をつなぐ
- 具体的な場面へ下りる
- 相手の答えから次を作る
- 沈黙を一つの意味に決めない
- 目的によって返答を変える
など、それぞれ別の操作です。
全部得意でなければ会話ができないわけではありません。
そして、一つずつなら実験できます。
だから、「会話がうまい/下手」という大きな評価より、今どの操作を使えていて、どこを動かせそうかを見る方が、改善には使いやすくなります。
脳のOSで見ると?
再定義
最初は、
会話がうまい=質問が上手
会話がうまい=話が面白い
のように考えていたかもしれません。
24回を通して見ると、
受け取る
返す
広げる
状況を見る
必要に応じて調整する
まで含めた方が、実際の会話に近そうです。
つまり今回は、「会話がうまい」という言葉そのものの意味を、実験の結果から作り直しています。
その前段では、構造分解によって「会話上手」をいくつもの操作へ分けました。
分解したあとで、もう一度定義を作り直す。
それが、この最終回で行った頭の操作です。
もう一度だけ
最初の問いに戻ります。
「会話がうまい」って、結局何?
今度は、「質問が上手なこと」のような一能力ではなく、この24回で動かしたものを材料にして、自分なりの定義を一文で作ってみてください。

