古文単語が覚えられないとき|現代語とのズレ・多義語・思い出し方を分ける

古文単語を何周しても覚えられない。単語帳では見たことがあるのに、本文に出てくると意味が出ない。翌日になるとまた抜けている。

そんなときは、単語帳を最初からもう一周する前に、「何が覚えられていないのか」を分ける方が早いです。

最初にやることは、最近間違えた古文単語を10語だけ選び、次の4つを確認することです。

  1. 現代語の意味に引っぱられていないか
  2. 意味が複数ある語を「1語=1つの訳」で覚えようとしていないか
  3. 見れば分かるだけで、自分から意味を出せないのではないか
  4. 当日は出るのに、翌日になると抜けるのではないか

この4つは、対策が違います。全部を同じ「暗記不足」にすると、必要のない周回が増えます。

1. 現代語と意味がずれる語は、「似ているからこそ」別にする

古文単語には、現代語と同じ・似た形をしていても、古語では意味が違うものがあります。

たとえば古語の「あたらし」には「惜しい」という意味があります。現代語の「新しい」と同じ感覚で読むと、知っている形なのに意味を取り違えます。

このタイプは、ただ「古文の意味」を上書きするより、

  • 現代語ではどう受け取りやすいか
  • 古文では何を意味するか

を並べて、違いそのものを覚える方が確認しやすくなります。

ノートに長い説明を書く必要はありません。

あたらし

現代語で連想しやすい意味:新しい

古文で確認する意味:惜しい

このように、間違えやすい方向を先に見える形にします。

2. 多義語は「意味を全部並べる」だけでは文中で使えない

古文単語帳を見ると、一つの単語に複数の訳が並んでいることがあります。

ここで起こりやすいのが、

「意味は三つ覚えた。でも本文ではどれを選ぶか分からない」

という状態です。

これは「単語を覚えていない」のではなく、文脈から意味を選ぶ練習が足りない可能性があります。

単語だけを見て訳語を答える練習と、本文の中で意味を選ぶ練習は別です。

多義語では、次の2段階に分けます。

  • 単語だけを見て、代表的な意味を出せるか
  • 短い文の中で、その場面に合う意味を選べるか

前者ができないなら、まず単語の想起です。 前者はできるのに後者で止まるなら、単語帳の周回数を増やすより、例文で意味を選ぶ練習へ移ります。

3. 「見れば分かる」と「何も見ずに出せる」は別に確認する

単語帳を開いて、

「これ知ってる」

と思えることと、テストで自分から意味を出せることは同じではありません。

記憶研究では、学んだ情報を自分で思い出す練習(retrieval practice)が、その後の想起を助けることが多くの研究で示されています。

古文単語なら、難しい方法は必要ありません。

10語を見たら単語帳を閉じて、

  • 古文単語 → 意味
  • 意味や場面 → 古文単語

のどちらかを、何も見ずに一度だけ出します。

出なかったら、その場で答えを確認します。

ここで大切なのは、最初から全部を読み直さないことです。 出なかった語だけを次の練習に残すと、「覚えている語」と「まだ出せない語」を分けられます。

4. 当日は言えるのに翌日抜けるなら、覚え方より「時間を空けた確認」を見る

その場では10語全部言えた。 でも翌日には4語しか出なかった。

この場合、当日の勉強時間だけを延ばしても、問題の中心を外すことがあります。

学習を時間的に分散することは、詰め込んで連続して学習するより長期保持に有利になることが、多くの研究をまとめたメタ分析で報告されています。一方で、「必ず○時間後」「必ず3日後」のような一つの間隔が全員・全教材に共通して最適というわけではありません。保持したい期間によって有利な間隔も変わります。

だから古文単語では、固定スケジュールを先に決めるより、

少し時間を空けて、何も見ずに出せるかを確認する

ことを基準にします。

まずは翌日、前日に覚えた10語を開く前にテストします。

  • 出た語:いったん外す
  • 出なかった語:もう一度確認する
  • 意味が混ざった語:対比して残す
  • 文中で選べなかった語:例文に戻す

復習を「全部やり直す作業」から、「まだ出ないものを探す作業」に変えます。

5. 10語だけでできる古文単語チェック

単語帳を何百語も開く必要はありません。直近で間違えた10語だけ使います。

チェックA:現代語に引っぱられるか

古文の意味を答えたあと、

「現代語の意味と混ざった?」

と確認します。

混ざる語だけ、現代語と古文の意味を並べます。

チェックB:意味が複数あるか

意味を一つ言えたら終わりにせず、

「別の意味もあったか」 「本文ではどれを選ぶか」

を確認します。

ただし最初から全訳語を一度に完璧にしようとしません。今読んでいる文章や問題で必要な意味から増やします。

チェックC:見ずに出せるか

単語帳を閉じます。

見た瞬間の「分かる」ではなく、何もない状態から意味を言えるかを見ます。

チェックD:翌日にも出るか

翌日、最初に単語帳を開かずテストします。

ここで初めて、「昨日覚えた」ではなく「時間がたっても取り出せた」を確認できます。

6. うまくいかないときに増やさないもの

古文単語が残らないとき、すぐに増やしたくなるものがあります。

  • 単語帳の周回数
  • 一日に覚える語数
  • 書く回数
  • 新しい参考書
  • 語呂合わせの数

これらが役立つ場面はあります。 ただし、どこで失敗しているか分からないまま増やすと、同じ失敗を繰り返すことがあります。

「もっとやる」の前に、

  • 意味を取り違えたのか
  • 多義語で選べなかったのか
  • 見れば分かるだけだったのか
  • 翌日抜けたのか

を一つだけ決めます。

7. 15分でやるなら、この順番

時間をかけすぎたくない日は、次の形で十分です。

5分:10語を仕分ける

最近間違えた10語を、

  • 現代語と混ざる
  • 多義語で迷う
  • 見れば分かる
  • 翌日抜ける

に分けます。

5分:何も見ずに出す

単語を見て意味を言う。 できれば逆方向も一部だけ試します。

出なかった語にだけ印をつけます。

5分:文脈で確認する

多義語や意味がずれる語は、単語帳の例文や教科書の本文で確認します。

単語だけでは出せるのに文章で止まるなら、次に必要なのは「暗記量」ではなく、文脈で意味を選ぶ練習です。

8. 単語の意味は出るのに古文が読めないなら、別の問題かもしれない

古文単語の意味をかなり答えられるのに、本文になると読めない。

その場合は、単語暗記だけの問題ではありません。

  • 助動詞
  • 敬語
  • 主語の補い方
  • 文の区切り
  • 文脈から意味を選ぶこと

など、別の場所で止まっている可能性があります。

単語を覚えることと、古文を読むことを一つにしない方が、次の勉強を決めやすくなります。

まとめ

古文単語が覚えられないときは、「暗記力がない」でまとめないことです。

まず10語だけ使って、

  1. 現代語の意味に引っぱられているか
  2. 多義語を一つの訳で覚えようとしていないか
  3. 見れば分かるだけで、自分から出せないのか
  4. 当日は出るのに翌日抜けるのか

を確認します。

止まっている場所が違えば、次にやることも違います。

単語帳をもう一周する前に、どこで抜けたかを一度だけ分ける。 それだけで、復習は「全部をやり直す作業」ではなく、「まだ出ないところを直す作業」に変わります。

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関連するページ

参考資料

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領解説」

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1407074.htm

  • McDermott, K. B. (2021). Practicing Retrieval Facilitates Learning.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33006925/

  • Cepeda, N. J. et al. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16719566/

  • コトバンク/精選版 日本国語大辞典「あたらし(惜)」関連項目

https://kotobank.jp/word/%E6%83%9C-547005

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