
友達3人で一つのゲームをするとき、「誰が最初にやるか」を決めることがあります。じゃんけんでも、あみだくじでも、紙のくじでもよいでしょう。でも、くじ引きだから必ず公平、とは限りません。当たりを作る方法によって、一人だけ有利になることがあるからです。
今回は実物のくじに頼らず、Aさん、Bさん、Cさんの3人が遊ぶ順番を決める場面を考えます。「公平」とは何かを先に決めてから、簡単な数え上げで確かめましょう。
3人の順番は6通り
3人がそれぞれ一度ずつ遊ぶなら、順番は次の6通りです。
| 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|
| A | B | C |
| A | C | B |
| B | A | C |
| B | C | A |
| C | A | B |
| C | B | A |
最初の人は3人から選べます。その次は残った2人から選び、最後は残った1人です。3×2×1=6通りになります。
ここで六つの並び方を、どれも同じ確率で選ぶ仕組みを使ったとしましょう。Aが最初の並びは上の2通り、Bが最初は2通り、Cが最初も2通り。したがって、3人とも最初になる確率は2/6=1/3です。
誰か一人に偏っていないので、「最初になれるチャンスが同じ」という意味では公平です。ただし、ゲームの内容によって、最初が有利な場合も最後が有利な場合もあります。公平な順番の抽選と、ゲーム結果の公平さは別です。
同じ6通りでも、選び方に偏りがあるかもしれません
例えば、次のような方法で順番を決めたとします。
「くじ箱にはAから始まる順番が書かれた紙を4枚、Bから始まる紙を1枚、Cから始まる紙を1枚入れる。よく混ぜて1枚取る」。
この場合、紙は6枚ありますが、Aが最初になる確率は4/6=2/3、BとCはそれぞれ1/6です。六つの紙からランダムに一つ選んでも、そもそもの紙の内容が偏っていれば公平ではありません。
では「順番の6通りを1枚ずつ」入れたらどうでしょう。それぞれの紙を等しい確率で引けると仮定すれば、3人の最初になる確率は同じになります。仕組みの中身を確かめることが大切です。
抽選の方法が公平かを調べるときは、紙をよく混ぜることだけでなく、どんな紙を何枚入れたかも確認する必要があります。
さいころを使うなら、どう割り当てる?
六面体の公平なさいころが一つあるなら、1・2をA、3・4をB、5・6をCに割り当てる方法が考えられます。それぞれの人に二つずつ目が割り当てられているため、各人の確率は2/6=1/3です。
ところが「1はA、2はB、3・4・5・6はC」と決めたらどうでしょう。AとBの確率はそれぞれ1/6、Cは4/6です。同じさいころを使っても、ルールだけで偏りが生まれます。
ここで「公平なさいころ」とは、それぞれの目が等しい確率で出る理想的なさいころのことです。現実のさいころの形や投げ方がどうであっても必ず同じ確率になる、と実験抜きで断定しているわけではありません。
一回だけで公平かどうかは分かる?
Aが3回連続で最初になったら、不公平なルールだったのでしょうか。必ずしもそうではありません。公平な抽選でも、同じ人が続けて当たることはあります。
独立した抽選で毎回Aが選ばれる確率が1/3なら、3回連続でAになる確率は(1/3)³=1/27です。起きにくいことではありますが、確率はゼロではありません。
また、結果を見たあとで「特定の誰かが3回連続した」と調べるなら、あらかじめAに注目した場合と計算が違います。AでもBでもCでもよいなら、3回とも同じ人になる確率は3×(1/3)³=1/9です。「何を起きた出来事と数えるか」によって、答えが変わるのです。
短い回数の結果だけで、くじが公平だったかを決めつけないようにしましょう。仕組みに偏りがないかを確かめることと、結果が毎回均等に見えることは別です。
公平さには、もう一つの質問があります
Aさんは何度も先に遊んでいて、Cさんはほとんど遊べていない。そんな状況で次の順番を決めるなら、全員を同じ確率にするのがよいでしょうか。それとも、今まで遊べなかった人を先にするのがよいでしょうか。
これは確率だけでは答えを出せない問題です。今回一回の抽選で機会を等しくする公平さと、これまでの機会の差を埋める公平さは同じではありません。状況によって、採用したいルールが異なることもあります。
例えば学校の係を決める場合にも、「全員が同じ確率で選ばれる」「全員が一年に同じ回数だけ担当する」「希望や得意なことを考慮する」は、どれも別の目標です。まず何を公平と呼びたいのか、言葉にしてみると話し合いやすくなります。
小さな実験:六枚の紙を作ってみよう
A・B・Cの順番6通りを一枚ずつ紙に書き、封筒に入れます。よく混ぜて一枚選び、並び方を記録します。紙を戻して混ぜ、10回繰り返してみてください。誰が最初になる回数は必ずしも均等にならないはずです。
そして、試した結果を見る前に、自分でルールを一つ変えてみましょう。例えばAから始まる紙を一枚追加すれば、Aが最初になる確率は上がります。目に見える結果より前に、選び方の仕組みを変えたことになります。
この実験は、くじ引きの正解を決めるためだけのものではありません。「公平」という言葉を、誰にどの機会がどれほど与えられるかという具体的な問いに戻す練習です。思考OSの「場合分け」と「問いを置き直す」を使えば、身近なくじも、考える材料になります。
本文の確率は、各くじやさいころの目が等確率かつ各回の抽選が独立であると仮定した計算です。
関連するOS・記憶学
三人がくじを引く場面を、起こり得る並び順に分けると、公平そうな手順の偏りを調べられます。この見方を別の場面にも広げたいときは、思考OS 第1章「場合分け」を読んでみてください。

