
意見文は、思ったことを長く書く文章ではありません。一つの論点について、自分の立場を示し、その理由と具体例をつないで、読み手に分かる形にする文章です。書き出しで止まるときは「よい意見を考えなければ」と焦るより、まず何について答える文章なのかを一文で固定すると進みます。
最初に「何について判断するか」を一文にする
たとえばテーマが「学校にタブレットをもっと取り入れるべきか」だとします。このとき「タブレットは便利です」だけでは、何に賛成なのか分かりません。
まず論点を「授業でタブレットを使う機会を増やすべきか」と書きます。その上で「私は、調べ学習や共有に使う時間は増やしてよいと考える」のように立場を決めます。
つまずきやすいのは、テーマから連想したことを次々に書いて論点が移動することです。「便利」「目が疲れる」「家でも使う」「ゲームもできる」と話題が飛ぶと、理由同士の関係が見えません。文章を書く前に、今回答える問いは一つと決めます。
「意見→理由→具体例」の三段で骨組みを作る
意見文の最小の骨組みは、次の三つです。
- 私はどう考えるか
- なぜそう考えるか
- その理由を確かめられる具体例は何か
例として、「学校の図書室を昼休みにもっと利用しやすくした方がよい」という意見なら、理由を「短い休み時間でも本を選べるから」とします。具体例には「借りたい本の場所を調べてから行けるように案内を増やす」「返却だけなら短時間でできる」など、理由と直接つながる場面を置きます。
具体例が理由と関係していないと、文章が長くても説得力は増えません。例を書く前に「この例は、直前の理由を確かめるためのものか」と確認します。
理由を二つ書くなら役割を分ける
「理由は二つあります」と書いたのに、二つとも同じ内容を言い換えていることがあります。
たとえば「タブレットを使うと調べやすい」「タブレットなら検索できる」はほぼ同じ理由です。それよりも、「必要な情報を探しやすい」と「考えをクラスで共有しやすい」のように役割を分けると文章に広がりが出ます。
理由を二つにする場合は、下書きの横に短いラベルを書きます。情報を探す、考えを共有する のようにラベルが違えば、理由が重なっていないか確認できます。
反対意見を入れるときは、自分の意見を弱めない
意見文では「一方で〜という心配もある」と反対側の見方を取り上げると、考えが深くなることがあります。ただし、反対意見を紹介しただけで終わると、最終的な立場が分からなくなります。
たとえば「長時間画面を見ると疲れるという問題はある。しかし、使う時間と目的を決めれば、紙の教材と組み合わせられる」のように、反対意見を認めた上で条件や対策を示すと、自分の主張がはっきりします。
間違えやすいのは「反対意見を書けば高評価になる」と形式だけ真似することです。テーマによっては、まず一つの理由を具体的に説明する方が大切です。文字数や課題の条件に合わせます。
ミニ練習:四つの箱だけ埋める
テーマを「学校行事の準備時間を増やすべきか」とします。いきなり本文を書かず、次の四つだけ埋めてください。
- 論点:準備時間を増やすべきか
- 立場:増やした方がよい/今のままでよい
- 理由:なぜか
- 具体例:どんな場面でその理由が表れるか
その後、80〜120字程度で一段落にします。書けたら「論点に答えていない文」を一本消します。文章を増やす練習だけでなく、論点から外れた文を削る練習も重要です。
「自分の経験だけ」で全部を証明しようとしない
自分の経験は具体例として使えますが、「私はこうだったから全員そうだ」と広げるのは注意が必要です。クラスのアンケートや資料が使える課題なら、自分の経験と資料を分けて書きます。
一方、小学校の意見文で必ず統計資料が必要なわけではありません。課題の目的が「自分の考えを理由とともに書くこと」なら、身近な経験を具体的に説明することにも価値があります。境界は、例から言える範囲を超えて断定しないことです。
推敲では「きれいな言葉」よりつながりを見る
書き終わったら、誤字だけでなく次を確認します。
- 最初と最後で立場が変わっていないか
- 各理由が論点への答えになっているか
- 具体例が直前の理由を支えているか
- 「だから」「しかし」などの接続が内容と合っているか
- 同じ理由を言い換えて繰り返していないか
ここがそろってから言葉を整えます。表現を難しくしても、理由のつながりが弱ければ意見文は読みやすくなりません。
次にやること:別テーマでも四つの箱を使う
まず一つのテーマで「論点・立場・理由・具体例」の四つを書き、そのあとテーマだけ変えてもう一度作ってください。たとえば「宿題の量」「給食の残食」「休み時間の過ごし方」などです。
テーマを変えても、問いを固定し、立場を決め、理由と例をつなぐという考え方は同じです。意見文は「何か立派なことを書く力」ではなく、自分の判断を読み手が追える形にする力だと考えると、書き出しで止まりにくくなります。
参考資料
- 文部科学省「中学校・高等学校学習指導要領・解説 国語関係資料」


