
箱ひげ図は、データを小さい順に並べたときの最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値を一枚で比べる図です。箱の中に「平均」が入っているのではありません。箱そのものは、データの中央50%がどこに集まっているかを表します。
箱の左端・中線・右端を読む
箱の左端が第1四分位数、箱の中の線が中央値、箱の右端が第3四分位数です。左右のひげは、学校数学の基本的な扱いでは最小値と最大値まで伸びます。
第1四分位数から第3四分位数までには、並べたデータの中央50%が入ります。したがって箱が短ければ中央のデータが比較的狭い範囲に集まり、長ければ広く散らばっていると読めます。
まず「箱=真ん中半分」と覚えると、図の意味がつかみやすくなります。
8個のデータで箱を作ってみる
データを小さい順に 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 12 とします。
中央値は中央の6と7の平均で 6.5。下半分 2,3,4,6 の中央値は 3.5 なので第1四分位数、上半分 7,8,9,12 の中央値は 8.5 なので第3四分位数です。
五数要約は 2 / 3.5 / 6.5 / 8.5 / 12。箱は3.5から8.5、中央線は6.5、ひげは2と12まで伸びます。
二つの箱ひげ図は中心と散らばりを分けて比べる
クラスAとクラスBのテスト結果を比べるとき、最初に中央値を見ます。中央値が高い方は、並べたときの中心が高い位置にあります。
次に箱の長さ、つまり四分位範囲を見ると、中央50%の散らばりが分かります。Aの中央値が高くても箱が長ければ、成績のばらつきは大きいかもしれません。
さらに最小値・最大値も見ます。同じ中央値でも、上下の広がり方は異なることがあります。「どちらが良いか」を一言で決めず、中心と散らばりを別々に読むのが箱ひげ図の強みです。
平均を読み取ろうとしない
箱ひげ図から平均値が直接分かるとは限りません。中央値と平均は別の代表値です。極端に大きい値があると平均は引っ張られますが、中央値は並べた中央なので影響の受け方が違います。
また、箱の中でデータが均等に散らばっているとも限りません。箱ひげ図は五つの位置に情報を圧縮しているため、個々のデータの山や谷までは見えません。
ヒストグラムなどと組み合わせると、「中央50%は狭いが、その中でどこに多いか」といった別の情報も見られます。
つまずく人は『位置』ではなく『人数の区切り』を見る
四分位数を「箱の左から4分の1の長さ」と考えると混乱します。四分位は図の長さを4等分するのではなく、データを順序で4つのまとまりに分ける境目です。
だから、第1四分位数から中央値までの横幅と、中央値から第3四分位数までの横幅が同じでなくても問題ありません。各区間に入るデータ数の割合が近くても、値の広がりは違うからです。
読み取り練習は一文で説明する
箱ひげ図を見たら、数値を読むだけでなく一文で説明してみます。
- 「クラスAはクラスBより中央値が高い」
- 「Aは中央50%の範囲が狭く、真ん中付近の散らばりが小さい」
- 「Bは上側のひげが長く、高い側に広がりがある」
このように、図の部品と意味を結びつけます。答えが「Aの方が上」だけなら、何を根拠にしたかが不足しています。
次は箱ひげ図とヒストグラムを並べる
同じデータから箱ひげ図とヒストグラムを作り、箱ひげ図では分かること、ヒストグラムでは分かることを二列に書いてください。箱ひげ図は中央値や四分位範囲の比較に強く、ヒストグラムは階級ごとの個数の形を見やすくします。
資料が変わっても「中央値→箱→ひげ→他の図との照合」の順で読むと、図から言えることと言えないことを分けられます。
四分位範囲を数で比べる
第1四分位数が3.5、第3四分位数が8.5なら、四分位範囲は 8.5-3.5=5 です。別の集団で第1四分位数4、第3四分位数7なら四分位範囲は3なので、中央50%だけを比べれば後者の方が狭く集まっています。
この数値化を使うと、箱の長さを目分量で比べるだけでなく、どれだけ散らばりが違うか説明できます。中央値が高い集団と、ばらつきが小さい集団は同じとは限らないため、代表値と散らばりを二つの軸に分けて読みます。
同じ中央値でも分布は同じではない
二つの集団がどちらも中央値6.5でも、片方の箱が3.5〜8.5、もう片方が5.5〜7.5なら、中央50%の散らばりは後者の方が小さいと読めます。さらに最小値・最大値の広がりも違えば、「中心は同じだがばらつきが異なる」と説明できます。
反対に、箱の長さが同じでも中央値の位置が違えば、中央50%がどの値の範囲にあるかは変わります。箱ひげ図は一つの数字に順位をつける道具ではなく、複数の特徴を同時に比べる図です。
箱の長さだけで「ばらつき全部」を決めない
箱が長いほど、第1四分位数から第3四分位数までの真ん中50%は広く散らばっています。ただし、箱ひげ図から元のデータ一つ一つの間隔までは分かりません。たとえば中央値と四分位数が同じ二つの集団でも、箱の内側にある値の並び方は異なることがあります。
だから比較するときは「中央値がどちらにあるか」「箱の長さはどうか」「ひげまで含めた全体の範囲はどうか」を別々に読みます。一つの特徴だけで「A組の方が成績が安定している」と決めず、何を根拠にそう言えるのかを言葉にしてください。
もう一問:同じ中央値なら同じ集団?
AとBの中央値がどちらも60、Aの四分位範囲が10、Bが25だったとします。このとき言えるのは「真ん中50%の散らばりはAの方が小さい」です。「平均も同じ」「最高点も同じ」とは言えません。箱ひげ図で読める情報と読めない情報を分けることが、資料問題での取り違えを減らします。



