
垂直二等分線は、線分の中点を通り、その線分に垂直な直線です。作図では、定規で90度を測るのではなく、線分の両端から等しい距離にある点をコンパスで二つ作り、その二点を結ぶことで垂直二等分線を得ます。作図手順と「なぜそうなるか」を一緒に理解します。
線分ABを用意する
まず、垂直二等分したい線分ABを描きます。
必要なのは両端A、Bです。
中点を先に目分量で探す必要はありません。
Aを中心に弧を描く
コンパスの幅を、ABの半分より大きく取ります。
Aを中心にして、線分の上側と下側へ弧を描きます。
コンパスの幅は途中で変えません。
同じ幅でBから弧を描く
今度はBを中心に、同じコンパス幅で弧を描きます。
Aからの弧とBからの弧が、上側と下側の二点で交わります。
交点をP、Qとします。
PとQを直線で結ぶ
定規でPとQを結びます。
この直線PQが線分ABの垂直二等分線です。
ABとの交点をMとすれば、MはABの中点です。
なぜPはAとBから等距離なのか
PはAを中心とした円弧上にあります。
同時に、Bを中心とした同じ半径の円弧上にもあります。
したがって、
です。
Qについても同じで、
です。
PとQはどちらも「AとBから等距離の点」です。
等距離の点の集まりが垂直二等分線になる
AとBから等しい距離にある点を集めると、ABの垂直二等分線上に並びます。
作図では、その等距離点をPとQの二つ作り、二点を結ぶことで直線を決めています。
つまりコンパスは「90度を測っている」のではなく、等距離という条件を作っているのです。
中点MもAとBから等距離
PQとABの交点Mは垂直二等分線上なので、
です。
したがってMはABの中点です。
「垂直」と「二等分」が別々の偶然で起きているのではなく、等距離の性質から両方がつながります。
コンパス幅がABの半分以下では困る
幅が小さすぎると、AとBから描いた円弧が交わりません。
二つの交点P、Qを作るため、半径はABの半分より大きく取ります。
ただし、正確な数値を測って半分より大きくする必要はありません。弧が二点で交わる幅にします。
よくある失敗:途中でコンパス幅を変える
Aから描いた弧とBから描いた弧の半径が違うと、交点はAとBから等距離になりません。
その場合、PとQを結んでも垂直二等分線にならないことがあります。
作図問題では「同じ半径」が根拠です。
もう一つの失敗:交点を一つしか作らない
上側のPだけでは、Pを通る直線は無数にあります。
下側にもQを作り、PとQの二点で一本の直線を決めます。
二つの等距離点を作ることが必要です。
証明で考える
PとQがA,Bから等距離なので、
△APQと△BPQを見ると、
- PA=PB
- QA=QB
- PQは共通
です。
したがって三辺がそれぞれ等しく合同です。
この合同から、PQがABを対称に分ける関係を説明できます。
作図と図形の証明がつながります。
垂直二等分線上の点を利用する問題
点XがABの垂直二等分線上にあるなら、
です。
作図問題だけでなく、長さを求める証明問題でも使えます。
逆に「AとBから等距離にある点X」が与えられたら、XはABの垂直二等分線上にあると考えられます。
円の中心を探す作図にも使える
円周上の二点を結んだ弦の垂直二等分線は、円の中心を通ります。
異なる二本の弦の垂直二等分線を描けば、その交点が円の中心になります。
「垂直二等分線=線分の作図」だけでなく、円の中心探索にも同じ等距離の性質が使われます。
練習:手順を理由付きで言う
「Aから弧、Bから弧、交点を結ぶ」だけでなく、
- 同じ半径だからPはA,Bから等距離。
- QもA,Bから等距離。
- 等距離点P,Qを結んだ直線が垂直二等分線。
と理由まで言います。
手順を忘れても「AとBから等距離の点を二つ作りたい」と考えれば、コンパス操作を復元できます。
次は作図を「条件を作る操作」として見る
角の二等分線でも、垂直二等分線でも、コンパスは距離の等しさを作るために使われます。
線を引く順番だけを暗記せず、どの等しさを作り、その等しさから何が言えるかを確認してください。
作図と証明を一緒に学ぶと、初めて見る作図問題でも「必要な条件をどう作るか」から考えられます。
三角形の外心にもつながる
三角形ABCの三辺AB、BC、CAについて、それぞれの垂直二等分線を考えます。
ABの垂直二等分線上の点はAとBから等距離、BCの垂直二等分線上の点はBとCから等距離です。
二本の交点Oなら、
なので
です。
Oは三つの頂点から等距離で、三角形の外接円の中心になります。
垂直二等分線の「等距離の点」という性質が、円や三角形の学習にもそのまま使われます。
座標でも同じ性質を確認できる
A=(-2,0)、B=(2,0)なら、ABの中点は(0,0)です。
AとBから等距離になる点はy軸上に並び、y軸はABに垂直です。
作図・証明・座標で表現は変わっても、中心にあるのは「二点から等距離」という同じ条件です。
参考資料
- 文部科学省「中学校学習指導要領・解説」



