
3分実験:同じ一言の「どこ」に返しているかを分けてみる
まずやってみる
相手がこう言いました。
「昨日、終電まで仕事でした」
二つの返しを比べます。
A
「かなり遅かったんですね」
B
「それはかなり疲れそうですね」
どちらも、相手の発言を無視してはいません。でも、返している場所が少し違います。
1
相手が実際に言った事実を探してください。
「昨日」
「終電まで」
「仕事をしていた」
これは発言の中にあります。
2
では、「疲れた」はどうでしょう。
相手は直接、「疲れた」とは言っていません。
Bは状況から、相手の体験を少し推測しています。
3
もう一つ、自分で返答を作ってみてください。
今度は、事実に返すのか、そこから想像できる体験に返すのかを先に決めてから作ります。
ここから種明かし
一つの発言を、一つのかたまりとして受け取る必要はありません。
「終電まで仕事だった」という一言にも、
- 何が起きたか
- いつまで続いたか
- 本人にとってどうだった可能性があるか
といった違う層があります。
Aは主に、出来事そのものへ返しています。
Bは、その出来事を経験した人の側へ少し近づいています。
ただし、「終電まで仕事=絶対に疲れた」とは限りません。
だからBも、「疲れましたよね」ではなく、「疲れそうですね」になっています。
ここまでの答えを見比べてみよう
| <見るところ> | <たとえば> |
|---|---|
| 発言された事実 | 終電まで仕事をしていた |
| Aが返したところ | 時間・状況 |
| Bが返したところ | その状況で感じそうな負担 |
| Bに含まれるもの | 相手についての小さな推測 |
コミュニケーションで見ると?
事実に返した方が自然な場面もあります。気持ちに触れた方が自然な場面もあります。
大事なのは、相手の発言には、返せる場所が一つしかないわけではないと気づくことです。
同じ一言を聞いていても、出来事を見るのか、時間を見るのか、人の体験を見るのか。そこで返答が変わります。
脳のOSで見ると?
構造分解
「終電まで仕事でした」を、そのまま一つの情報として扱わず、
- 出来事
- 時間
- 状況
- そこから推測できる体験
に分けて見ました。
会話でも、発言を分解すると返答の候補が増えます。
「何を返せばいいか分からない」という状態でも、一つの発言の中に、返せる場所はいくつあるだろうと分けてみると、見え方が変わることがあります。
もう一度だけ
次の一言を使います。
「明日は朝6時に家を出るんです」
今度は、事実に返す返答と、その人の体験に少し近づく返答を一つずつ作ってみてください。

