中学受験の「場合の数」|公式より、重複と漏れを消す並べ方

中学受験の「場合の数」は、公式をたくさん覚えるより、同じ場合を二度数えず、必要な場合を漏らさない並べ方を作ることが大切です。小さな例を樹形図・表・順序で整理し、「何を一つの場合として数えるか」を固定してから計算します。

まず全部書ける小さな問題で考える

赤・青・黄の3色から2色を順に選ぶとします。同じ色は二度使わないものとします。

1色目が赤なら、2色目は青・黄の2通り。
1色目が青なら、赤・黄。
1色目が黄なら、赤・青。

合計6通りです。

赤→青 と 青→赤 を別の場合として数えるのは、「順番を区別する」と問題で決めているからです。

順番を区別しないなら数え方が変わる

同じ3色から「2色の組を作る」だけなら、

  • 赤と青
  • 赤と黄
  • 青と黄
    の3通りです。

赤青と青赤を別に数えません。

場合の数で最初に確認するのは、順番が違えば別の場合かです。ここを曖昧にすると、樹形図を正しく書いても答えが2倍になることがあります。

樹形図は「次に選べるもの」を枝にする

4人A,B,C,Dから会長と副会長を一人ずつ選ぶなら、Aが会長のとき副会長はB,C,Dの3通りです。

同じようにB,C,Dが会長の場合も3通りずつなので、

4×3=12

通りです。

樹形図は絵をきれいに描くことが目的ではありません。「一つ決めた後に、次に何通り残るか」を見える形にする道具です。

「または」は足し算、「続けて」は掛け算になりやすい

赤いカード3枚、青いカード2枚から1枚選ぶなら、色を問わず一枚選ぶ方法は

3+2=5

通りです。

一方、上着3種類とズボン2種類を一つずつ選ぶなら、

3×2=6

通りです。

ただし文章中の「または」「そして」だけで機械的に決めません。同じ一つの場合を重ねて数えていないか、選択が段階的かを確認します。

条件があるときは「全体から除く」方法も使える

0,1,2,3の4枚から2枚を並べて2桁の整数を作るとします。同じ数字は使わないとします。

単純に4×3=12とすると、十の位が0の並びも含まれます。しかし 01 は2桁の整数ではありません。

十の位は1,2,3の3通り、その後の一の位は残り3通りなので、

3×3=9

通りです。

条件を最初の段階へ反映すると、後で引くより分かりやすい場合があります。

重複を見つけるには「一つの場合の表し方」を統一する

三角形の頂点A,B,C,Dから2点を選ぶ問題で、ABとBAを同じ組とするなら、アルファベット順に小さい文字を先に書くと決めます。

すると、
AB, AC, AD, BC, BD, CD
と重複なく書けます。

書き方のルールを先に決めると、同じ場合を別表記で二度数える失敗を減らせます。

円順列のような問題では「回転して同じ」を確認する

人を円形に並べる問題では、全員が同じだけ回転した並びを同じとみなす場合があります。

中学受験では問題の条件によって、席に番号があるのか、円卓で回転を同一視するのかが変わります。

見た目が違う配置でも同じ場合として扱うことがあるため、何を同一とみなすかを問題文から決める必要があります。

よくある失敗は公式を先に選ぶこと

「順列だからこの公式」「組合せだからあの公式」と名前だけで始めると、条件付き問題で外れます。

まず3個や4個の小さな場合を実際に書き、

  • 順番を区別するか
  • 同じものを使えるか
  • 選んだ後の選択肢が減るか
  • 同じ配置を別と数えるか
    を確認します。

その構造が分かってから計算を短くします。

練習1:3桁の偶数を作る

1,2,3,4から異なる3枚を使って3桁の偶数を作るとします。

一の位は2または4の2通り。
一の位を決めた後、百の位は残り3通り。
十の位は残り2通り。

したがって

2×3×2=12

通りです。

「偶数」という条件を最後に考えるより、一の位を先に固定すると整理しやすくなります。

練習2:少なくとも一人が女子

男子3人、女子2人から2人選び、「少なくとも一人が女子」とします。

全体の2人組から「男子だけ」を除く方法が使えます。

全体は10組、男子だけは3組なので7組です。小学生段階で組合せ記号を使わなくても、全組を規則的に書いて検算できます。

条件が「少なくとも」となったとき、直接数える方法と補集合で数える方法の両方を比較します。

答えが出たら別の方法で小さく検算する

12通りと出たなら、樹形図の枝数、表のマス、条件別の合計など別表現で確認できないか考えます。

場合の数は計算ミスより、数え方の設計ミスが大きく答えを変えます。

だから「式が短いほどよい」のではなく、最初に重複と漏れがない構造を作る方が重要です。

次は条件を一つ変えて数え直す

「順番を区別する→しない」「重複不可→可」「少なくとも→ちょうど」に変えたとき、樹形図のどこが変わるか説明します。

数字を変えるだけでなく条件を変えると、暗記した公式ではなく数え方の仕組みを理解しているか確認できます。

表を使う方が速い問題もある

二つのサイコロや二種類の選択肢を組み合わせる問題では、樹形図より縦横の表が見やすいことがあります。行に一つ目、列に二つ目を置けば、1マスが1通りに対応します。

たとえば1〜3のカードを一枚ずつ二回選ぶなら、3×3の9マスを作り、和が4になるマスだけ印を付ける、といった使い方ができます。

樹形図・表・列挙のどれを使うかは、問題の構造に合わせて選びます。「場合の数=必ず樹形図」ではありません。

参考資料

  • 文部科学省「小学校学習指導要領・解説」
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